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お店の「顔」となるメニューはどうやって開発する?4STEPで解説

飲食店に携わる多くの方が頭を悩ませるメニュー開発。みなさんも「何から手をつければいいのかわからない」「いいメニューを開発するにはどうすればいい?」といった疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか? 今回は、「売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)」の著者でもある飲食店販促コンサルタントの笠岡はじめ様に、メニューをつくる時におさえるべきポイントや、お店の顔となる看板メニューの生み出し方などを詳しく伺いました。

この記事の目次

※この記事で出てくる「メニュー」とは、料理やドリンクなどお客様に提供する商品のことを指しています。

笠岡 はじめ(かさおか はじめ) 飲食店コンサルティングの(株)飲食店繁盛会の代表。一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。全国の飲食店の売上・収益アップのコンサルティングや業態開発、業態転換、通販事業構築などを行う。著書に「売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)」等。セミナー・研修は年間30〜100本。メディア掲載も年間数十件。ITコーディネータとしてITの専門家としても活躍中。(「飲食店繁盛会」FacebookやTwitterでの友達申請歓迎)

新しいメニュー開発が必要なタイミング

突然ですが、質問です。
みなさんのお店には「看板メニュー」はありますか?

「はい」と答えた方に、もう一つ。
みなさんのお店のことを知っている方のほとんどが「このお店といえばこのメニュー」と思い浮かべる料理(又はドリンク)はありますか?
そう問われると、自信を持って「はい」と答える方は意外と少ないのではないでしょうか?

今の質問に対して少々口ごもってしまったら、本当の意味での「お店の顔となる看板メニュー」が無いということかもしれません。
そして、それは「新しいメニュー開発が必要なタイミング」が来ていることを意味します。

飲食店にとってメニューとは、当然のことながらお店の中心的な存在であり、お客様にとっての体験そのものといっても過言ではありません。さらにメニューは、お店の告知をするときにも活用しますし、リピート率にも影響を与えるので、売上の増減に最も大きく直結する要素であるといえます。

だからこそ、売上が下がっているなどお店にとって良くない状況になったとき、「看板メニュー」が無い、もしくは、無くなったことが大きな原因の1つであることがほとんどです。あえて厳しい言葉で表現すると、お客様がお店のメニューに対して魅力を感じていない、メニューがお客様を呼べていない、ということです。

【他にもメニュー開発が必要なタイミングがある?】
何か一つ看板メニューがあっても、更に売上を伸ばしたいなら別の看板メニューを作ったほうがいいでしょう。理想は看板メニューを三つ、「お店の三本柱」がある状態です。
また、販促計画と絡めて季節ごとに一つずつ新メニューを開発するなど、経営と連動させるのも効果的です。

いいメニューはいいコンセプトから生まれる

それでは、どうすればお客様に魅力を感じていただける看板メニューを開発できるのでしょうか?
詳しい開発手法は次の項で解説しますが、まず大前提として覚えていただきたいのが、「いいメニューはいいコンセプトから生まれる」ということです。

コンセプトとは、お店の考え方を一言でまとめたもの。例えば、「20代の男性会社員が、仕事帰りにもつ鍋を食べながら同僚と気兼ねなく談笑するお店」「若いカップルが、デートの合間にケーキを楽しみながら一息つくカフェ」などです。

コンセプトを考えるときは、以下4つの要素に分けてみましょう。

  1. 誰の:お客様の年齢、性別、職業、住居エリア
  2. どんな利用動機に対して:どんな目的でその店に来るのか(ちょい飲み、デートなど)
  3. 何を:どんな料理を出すか
  4. どのように提供するか:提供方法や接客スタイル

この中で特に重要なのが、「誰の」です。想定する属性の人が、あなたが構えるお店の商圏にどの程度いるか、をきちんと把握しておかなければなりません。
「会社員向けのお店にしよう」と考えたら、お店がある街を歩きながら、もしくは国の出している統計データなどで会社員がどれくらいいるのかを確かめてみましょう。「たくさんいるよ」と思っていても、実際に調べてみると案外見かけない、ということはよくあります。

そしてもう一つ重要なのが、「何を」です。
「何を」のジャンルの料理がすなわち、新しく開発するメニューになるからです。

【事例:「誰の」を無視した失敗例】
「どうしても自分の大好きなタイ料理屋を開きたい」という方が某ベッドタウンにて開業したところ、繁盛せず店を畳んでしまったことがありました。
理由はシンプルで、そのお店の周りに住んでいるのは主にファミリー層で、タイ料理を好む若い女性が少なかったからです。やりたいことも大事ですが、飲食店が繁盛するかは開業する立地に大きく左右されることも意識しておきましょう。

 

参考:エリアマーケティング・商圏分析とは? 効率良く店舗への来店数を増やすためにできること

【4STEPで完成】お店のコンセプトを表すメニュー開発のやり方

さて、いよいよここからが本題です。
お店のコンセプトが固まったら、メニューの開発に取り組みましょう。
4つのSTEPに分けて解説するので、この記事を読みながら実際にメニュー開発をやってみてください。

<STEP1:視覚+味覚+αを軸に試作する>

「さあ、新しいメニューを開発するぞ」と意気込んでキッチンに入る前に、やるべきことがあります。それは、メニューのアイデアを考える、ということです。

アイデアを出すときに軸となるのは「五感」。なぜなら、多くのお客様に喜ばれるメニューは「五感に訴える」ものだからです。
この中で一番意識してほしいのは「視覚」です。人間が情報を得るとき、その多くが視覚によるものといわれており、特に近年は、SNSで写真をシェアする文化が発達し、見た目の重要性が高まってきています。
みなさんも、料理を食べる前に、目で見て「おいしそう」と判断することでしょう。味覚、つまり料理の美味しさは、長年調理を経験した人が作れば自然とついてくるので、まずは視覚で差別化を図ろうということです。

そこで、視覚に訴えるメニューを考えるために、書店に行ってグルメ本を片っ端から購入し、「この料理は目を惹く」と感じるものを探してみてください。PinterestやInstagramなどの、画像シェア系SNSをひたすら見るのも良いでしょう。
その料理の特徴を、これから開発するメニューのヒントとするのです。

見た目のイメージができたら、そのイメージを実際の料理として形にする試作段階に入るのですが、ここで「視覚・味覚」以外に「聴覚・嗅覚・触覚(視覚・味覚を再度かぶせても良い)」のいずれかから一つ以上、特徴となる要素を加えられないか考えます。
ジューっと音を出せないか、食欲をそそる香りを強く出せないか、触る楽しみを仕掛けられないか、ナイフを入れた瞬間に新しく視覚に訴える……+αを考えるのです。

今まで数々のメニュー開発に関わってきた経験則からですが、「視覚+味覚+α」が考えられたメニューは上手くいくことが多いです。

【事例:視覚+味覚+αで成功した例】
通常サイズの4~5個分くらいの材料を使って「大きなシュウマイ」を作ったことがあります。この時点で、見た目のインパクトは抜群でお客様の注意を惹くことがわかると思います。こだわりの素材と、経験豊富な料理人の調理によって、味ももちろんおいしく。そして、シュウマイにお箸を入れて切ると、中から湯気とともにジューシーな香りが広がるよう工夫しました。視覚+味覚+嗅覚の3つでお客様を魅了するメニューとして、現在でも大変好評をいただいています。

 

<STEP2:オリジナル性を出す>

STEP1で試作段階のメニューができたら、一度立ち止まって「このメニューは他の店に真似されないか」の観点で見直します。せっかくいいメニューを開発しても、同じようなメニューを他店が作ってしまってはなかなか集客する看板メニューになりれません。
「ここでしか食べられない、あのメニュー」に仕上げることは、メニュー開発で外せない工程なのです。

自分のお店でしか作ることができないソースの製法、特別に仕入れができる素材など、そうやすやすと真似できないオリジナル性を追求するのがポイントです。また、オリジナル性は「自分の店らしさ」が出せるとなおよしです。例えば創業100年を超えるような老舗であれば、創業当初から受け継がれてきたレシピがお店らしさを体現するオリジナル性となります。

<STEP3:開発したメニューが受け入れられるかテストする>

このSTEPでは、開発したメニューを実際に食べて(飲んで)もらい、そのメニューがお客様に受け入れられるのか検証します。

テストのやり方は色々ありますが、一番簡単なのは常連のお客様に提供することです。
あとは、期間限定のおすすめメニューとして実際に販売するのもいいでしょう。

食べてもらったらアンケート等でお客様に意見をいただくのですが、ここでやってはいけないのが「おいしかったですか?」と聞くことです。なぜなら、そう聞いてしまうとたいていの人は「おいしかった」と答えてくれる(答えてしまう)からなんですね。
テスト対象者から正確な意見をもらいたいときは、「このメニューを毎回注文したいと思いますか?」のように聞くべきです。身銭を切ってでも毎回注文したいと思ってもらうくらいでないと、看板メニューにはなりません。

また、この質問に対してNOと回答されたら、「それはなぜですか?」「どの部分が満足いかなかったですか?」と聞きましょう。お客様にとって「不」となっている部分を改善することで、ブラッシュアップを重ねることが重要です。

そして、意外と見落としがちなのが「食べ方」です。
例えば、3色のソースを料理に添えて出したら、お客様が「どのソースにつければよいかわからない」と迷ってしまった……といった失敗はよくあります。どう食べればよいのかがお客様に理解されているかも、テスト段階で見るべきポイントでしょう。

<STEP4:マニュアルを作り、効率化できるか考える>

実際のオペレーションを考えることまでがメニュー開発です。
いつでも、どんな状況でも同じ料理を提供するために、そのメニューのマニュアルを作りましょう。
せっかくいいメニューを開発しても、お店の中で作ることができるのが一人しかいなかったら……その人が休みの日にお店を開けられなくなってしまいます。

マニュアルは、「仕込み」と「調理」に分けてそれぞれ作成します。
文字ベースでも構いませんが、最近は動画でマニュアルを作るお店も増えています。
動画の方が視覚的に理解できる分、料理の再現性は高くなります。

また、お客様からオーダーいただいて提供するまでの調理時間を適正にするため、効率化についても詰めておきましょう。どの順番でどの作業をするのが最も効率よくできるのかはもちろん、他のメニューとの兼ね合いも考慮する必要があります。
例えば、玉子焼きを調理するときは常にフライパンを見ていないといけないため、その間他のことができなくなります。そんな状況で、これまた別の場所で親子鍋につきっきりとなる親子丼の注文が入ったらどうするか……そこまで想定しなければなりません。

メニューごとの売上管理(メニュー分析)をしよう

新しいメニュー開発をしたタイミングに限らずですが、飲食店にとって「メニュー分析」は非常に重要です。
その重要性を理解してもらうために、一つ事例を紹介しましょう。

ハラミが売りの焼肉店のお話です。
そのお店の店主も従業員も、「うちはハラミが支えている。これからもハラミの売上を伸ばして稼いでいこう」と考えていました。しかし、なかなか売上や利益が上がりません。そこで「一度数字で見てみよう」とABC分析をやってみると、ハラミの原価率が高過ぎて利益を圧迫していたことが分かったのです。

【ABC分析とは】
メニュー単品を売上や利益額の順にリストアップし、上位~下位までをA~Cでランク付けし、メニューの改善や変更の基準を作るための分析手法。売上で見たものを「売上のABC分析」、利益で見たものを「粗利のABC分析」と呼び、その2つを掛け合わせて分析する手法を「クロスABC分析」と呼ぶ。

参考:【飲食店の経営指標】「ABC分析」とは? 売れ筋・死筋商品を見極めよう
   【abc分析活用術】飲食店・小売店の売上アップにつながるデータ戦略とは

そのお店の常連さんは皆、「ここのハラミは最高だね」と褒めてくれていました。
そんなお客様の声だけを信じて、イメージだけで今後の方向性を決めてしまっていたのです。

分析結果を受けて、店主はさまざまな改革を行いました。ハラミの1皿分の量や価格を改善したり、ハラミ以外の看板メニューを作ることで上手くオーダーコントロールをし、売上・利益アップや原価率ダウンに成功したのです。

みなさんも、この事例の店主のように「勘と度胸」でいろんなことを決めてしまっていませんか?
大切な常連さんの声を聞くことは大事です。
しかし、数字で裏付けされた事実もしっかりと把握しておかないと、その常連さんの憩いの場であるお店の存続が難しくなってしまうかもしれません。

過去の実績を正しく分析して、その結果をヒントに未来への道を考えることが、全ての飲食店にとって大事なことなのです。

まとめ

  • 「メニューがお客様を呼べていない」と感じたらメニュー開発をするべきタイミング
  • メニュー開発の前に「お店のコンセプト」を考えよう
  • 五感+オリジナル性でメニューを考えよう
  • オペレーションを考えるまでがメニュー開発
  • 新しいメニューを開発したら必ずメニュー分析を

看板メニューはそう簡単にはできません。何度もお客様に問いかけて、いつか芽が出るものです。
もちろん、せっかく開発したメニューが全然オーダーされなかったら、仕入れた食材もロスしますし、ちょっと落ち込んでしまうかもしれません。
しかし、そこで立ち止まらずにブラッシュアップしたり、また新たにメニューを考えれば、いつかきっと「看板メニュー」は生まれるはずです。今使っている食材からでも始められ、やりなおしが効きやすいのが、メニュー開発のいいところです。
この記事を読んだみなさんが素敵なメニューを開発されることを、心から願っています。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

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