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タイムカードの計算はアナログ?デジタル?店長が簡単・正確に管理する方法

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

タイムカード計算

勤怠管理に欠かせない「タイムカード」。近年はタイムカードのデジタル化も進んでおり、記録・集計方法もさまざまです。この記事では、「どうやってタイムカードを記録・集計する?」「どの方法が最適?」など、タイムカードを運用・管理するにあたってさまざまな疑問をお持ちの方向けに、丁寧に解説していきます。

この記事の目次

「タイムカード」の目的は、従業員の労働実績を記録すること

まず、「タイムカード」そのものを理解することからはじめましょう。タイムカードとは、従業員の労働実績を書き込む紙のことです。出勤・退勤・休憩の入り・戻り時間を何らかの手段で記録したものを指します。

主な手段としては「タイムレコーダー」があります。従業員がタイムレコーダーにタイムカードを差し込むだけで、簡単に労働実績を記録することができます。

タイムカードに記録されるもの

タイムカードには、一般的に下記の項目が記録されます。

  • 出勤時間
  • 休憩開始時間
  • 休憩終了時間
  • 退勤時間

上記に加えて、「実労働時間」を自動で計算してタイムカードに記録してくれるタイムレコーダーもあります。このタイムレコーダーを導入すれば、正確に集計できるだけでなく業務時短にもつながるでしょう。

タイムカードの役割

タイムカードの役割は、従業員側と勤怠管理者側(店長など)とで少し異なります。

従業員側にとっては、実労働時間を知るということが主な役割となります。実労働時間が正確にわかれば、今月どのくらい働いて、どのくらいの給料がもらえるのか、把握することができます。

管理者側は、自身が支払う給与を正確に算出するだけでなく、従業員の実労働時間を正しく把握するという役割を果たします。それは「労働基準法を遵守した労働実績であるか」をチェックする役割も担っています。

例えば、従業員が休憩はちゃんととっているか、集計後の実労働時間が法定内に収まっているか、などを正しく把握するのにタイムカードが必要になるのです。

また、シフトを組んでいる時点と実際の勤務時間が異なることがありますが、その差分が分かるように記録するのも、タイムカードの役割です。シフト表が“予定”だとすると、タイムカードは“結果(実績)”です。タイムカードなどの勤怠管理ツールは、シフト表とセットで考えると良いでしょう。

労働実績を“正確”に把握するために

従業員の労働実績が正しく記録できていなければ、給与計算・賃金の正確な支払いはおろか、労働基準法に違反してしまう可能性が出てきてしまいます(タイムカードの押し忘れや実際の予定勤務時間より長く・短く働いてしまうケースがあるため)。

タイムカードに記録された時間が“正しい”ものであるか、シフト表と突き合わせながらしっかりとチェックを行いましょう。
店長が「シフト表」をカンタン・正確につくるには。現場に基づくコツ・注意点も

タイムカードを使用する目的は、従業員の労働実績の記録ですが、それが正しいものでなければ意味を成しません。従業員側と管理者側の両方にとって“正しい労働実績”とはどういったものなのか、次の章で解説していきます。

労働実績を1分単位で切り捨て・切り上げせずに記録する

労働実績を正しく記録するためには、労働基準法の遵守を徹底しなければなりません。特に注意する点は「賃金全額払いの原則」に当たる点です。法律違反は「知らなかった」では済みません。きちんと理解して勤怠管理を行うことが大切です。

勤怠管理は1分単位で行う必要がある

労働時間は、短い労働であっても切り捨てられた場合、労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」に違反してしまいます。

たとえ1分の労働であっても、その労働には賃金が発生します。1分単位の労働時間であっても切り捨てることはできないのです。タイムカードをタイムレコーダーに打刻する従業員側にも認知してもらうことが必要でしょう。

労働実績を1分単位で、切り捨てせずに記録することが、雇用主の必須事項と言えるでしょう。

その他勤怠記録上の注意点

その他、「休憩」という点も勤怠記録をする上で注意が必要になります。従業員に必要な休憩を取らせていない場合、これは違法となります。タイムカードには休憩開始時間・終了時間を記録する項目があります。従業員が定められた休憩時間をきちんととっているか、確認することも必要です。

従業員の雇用形態ごとに、勤怠管理で注意すべき点は異なる

労働実績の管理は、雇用形態に関わらず全ての従業員に対して行わなければなりません。ただし、雇用形態別で、それぞれ注意したいポイントが異なります。

正社員の勤怠管理

たとえば飲食店の場合、忙しい時期や時間帯(ピーク)がまちまちです。また、アルバイトの急な病欠があった場合、正社員が人員補填の対象となることも多々あります。

時には1日の労働時間が8時間に収まらないこともあるでしょう。8時間以上勤務の場合は残業代の支払いが必須です。

アルバイトなど他の従業員のカバーのために、社員が働きすぎにならないよう注意する必要があります。

アルバイト・パート勤怠管理

アルバイトやパートを雇う際に注意しておかなければならないのは、控除についてです。いわゆる「103万円、150万円の壁」(配偶者控除)「130万円の壁」(健康保険・厚生年金)のことで、年間の収入が一定数を超えることで、各種控除の金額が変動します。

そのため、条件について希望のある方がいれば、各人とすり合わせをした上で雇用契約を結び、労働実績が契約内におさまっているか細かくチェックが必要です。

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また、労働実績の「不正」にも注意が必要です。例えば出勤していないにも関わらず、バイト仲間に「(タイムカードに)打刻しておいて」と頼み、労働時間の水増しをされてしまう……といった不正が起き得るということも理解しておきましょう。

タイムカードの記録・集計方法は主に3つ。アナログ・デジタルそれぞれのメリット・デメリット

タイムカードを使用して労働実績を記録・集計する方法は、主に3つあります。

  1. 【アナログ記録×アナログ集計】
    レコーダー打刻or手書き×電卓
  2. 【アナログ記録×デジタル集計】
    レコーダー打刻or手書き×表計算ソフト集計
  3. 【デジタル記録×デジタル集計】
    勤怠管理システム(記録と集計をシステムひとつで完結)

上記3つの記録・集計方法のメリット・デメリットを紹介していきます。

①レコーダー打刻or手書き×電卓のやり方とメリット・デメリット

タイムカード計算

タイムレコーダーでの打刻、もしくは手書きでタイムカードに労働実績を記録。集計は電卓などの手作業で行うのが①の方法になります。

タイムカードを使用して労働実績を記録したいと考えている場合、タイムレコーダーの導入もセットで検討しましょう。手書きでも記録することは可能ですが、書き忘れ・書き間違いなどの点で正確性がかなり劣ってしまいます。厚生労働省のガイドライン※では、労働時間の記録に関し「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する」としています。

それが可能でない場合は使用者が現認(実際に出勤してきたところを確認)する必要があります。打刻するだけで良いタイムレコーダーで記録を行うのがおすすめです。

参考:平成29年厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

この方法のメリットは、「アナログで作業できる」「コストもそれほどかからない(参考:タイムレコーダーは1万円~3万円程度、タイムカードは100枚2,000円程度)」の2点です。

特に難しい作業が必要ないため、デジタル関連ツールの使用が苦手という方もすぐにできますし、コストもタイムカードとレコーダー代のみで賄えます。従業員も「打刻するだけ」なので、特別なレクチャーが必要ない点もメリットと言えるでしょう。

デメリットは、労働時間の集計作業において正確性に欠けるという点です。給与計算の際に1分単位での支払い計算の難易度が高くなります。

またタイムカードは、勤務先で別の人間が打刻することも可能なので、その点で不正のリスクがゼロではありません。

②レコーダー打刻or 手書き×表計算ソフト集計のやり方とメリット・デメリット

タイムカード計算

タイムレコーダーでの打刻、もしくは手書きでタイムカードに労働実績を記録。集計は表計算ソフトで行うのが②の方法になります。

この方法のメリットは、①と同様「コストがかからない」ところと、①に比較して計算の精度がアップする点です。電卓などの手作業で集計する必要がなくなるので時短にもなります。

一方デメリットは、①と同様、機械での打刻・集計ではないためミスや書き損じ発生のリスクがあります。表計算ソフトの関数を理解していない・パソコン作業が苦手な方には難しい、という点も挙げられます。

表計算ソフトで集計する場合、関数さえ正しければ集計ミスは発生しにくいですが、打刻について不正があった場合にはそれを排除はできません。また、不正でなくても例えば関数が壊れてしまった場合は、①の方法よりも修正に時間がかかりますし、表計算ソフトが苦手な方の場合、より時間がかかってしまう可能性もあります。

③勤怠管理システムでの記録・集計のやり方とメリット・デメリット

タイムカード計算

出退勤の打刻データ(実労働時間の記録)と集計の両方をデジタルに行い、システム上で完結させる方法です。

システムによって、記録の方法はさまざまあります。例えば従業員ごとに専用のIDがバーコード等で発行され、出勤の際にバーコードを読み込むと、出勤時間がシステムに登録される。といったものもあれば、お店に、その店舗専用に生成されたQRコードを置いておき、各従業員がスマートフォンアプリから読み込むだけで打刻できる、というものもあります。
※QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標です

この方法のメリットは、従業員別にIDを発行することにより、打刻時のミスや不正が防げること。また、打刻情報が瞬時にシステム反映されるため、管理者が店舗にいなくても従業員の出勤や欠勤を確認でき、店舗における人員補充もスピーディーに行うことができます。労働実績が紙でなくデータ化されるのも、労働時間管理や給与計算の責任を持つ管理者にとって良い点と言えるでしょう。

労働時間の集計は自動で行われるのでミスも少なく、また月末でなくとも好きなタイミングで労働時間の集計記録を確認できるため、人件費の予測なども可能です。

勤怠管理とシフト作成がひとつになったサービスもある

システムによって仕様はさまざまですが、
シフトの希望収集・作成・調整・共有、タイムカード機能、出退勤打刻、集計機能
これらがひとつのシステムによって行えるサービスもあります。また、給与計算システムとの連携が可能となっているサービスもあります。

シフト表と勤怠が同一システムで管理できれば、予定と結果(実績)の差分が一目瞭然ですし、次月以降のシフトの組み立てに実績を「過去パターン」として役立てることもできます。従業員別で労働時間を確認するなど、細かいモニタリングもできますし、売上管理とも連動していれば、「全体の売上の中における人件費」といった分析も、より正確に行うことが可能です。

また、アナログの集計方法の場合、タイムカードを従業員一人ひとりに用意しなければなりませんが、デジタルだとシステム一つあれば良い点も便利です。

打刻時のミス・不正が防げることに加え、①や②で難しかった「1分単位」での計算もシステムが自動的に行います。勤怠管理周りの全てにおいて、人でなくシステムがチェックしてくれるため、ミスが発生しにくいというところも大きなメリットです。

デメリットは、万が一ミスが生じた場合、システム管理者の修正作業に手間がかかってしまうことが考えられます。

例えば、ある従業員が「休憩終了」の打刻を忘れてしまった場合。アナログの方法だと管理者に認め印をもらい、手書きで修正するなどで済みますが、システムだとパソコンなどの端末を使用して修正作業を行わなければなりません。

従業員の多い店舗だと、この修正作業に時間がかかることも。記録忘れやミスが発生しないように声掛けすることはもちろんですが、ミスが発生した際のフローも明確にしておくことが必要です。

またイニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(継続するための費用)が多くかかる場合がある点もデメリットと言えます。

まとめ

  • タイムカードの目的は、従業員の労働時間を正しく把握すること
  • 労働時間は1分単位で記録する。切り捨てはNG
  • 社員・アルバイトなど、勤怠管理の注意点は雇用形態別に異なる
  • タイムカード・レコーダーはアナログ・デジタルそれぞれに良し悪しがある

タイムカードのアナログ・デジタル化はそれぞれの店舗の特性、また店長の特性に合わせて選ぶことが大切です。勤怠管理をデジタル化すると、労働実績の記録・集計の負担が軽減されることがわかります。従業員の手間やミスも減るため、導入すれば店長・従業員双方にメリットがあると言えるでしょう。
そもそも店長の業務量は膨大です。正確性を上げるという目的はもちろんですが、デジタルに頼れるところは積極的に頼るのもひとつの方法ではないでしょうか。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

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笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」を育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」の資格講座を提供している。
また、年間3桁の飲食店の売上アップのコンサルティングや開業支援、業態開発などを行う飲食店専門コンサルティング会社「飲食店繁盛会」の代表も務める。
著書に『売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)』等。セミナー・研修は年間約100本。メディア掲載も多数。
●販売促進士日本フードアドバイザー協会
https://spfaaj.or.jp/
●飲食店繁盛会
https://hanjoukai.com/
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