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ダブルワークで飲食店経営!「台湾麺線」が経理業務を月2時間に短縮させた仕組みとは

新橋の一角に店を構える「台湾麺線」。お昼時には名前にもなっている台湾料理「麺線」を求め多くの人が訪れます。この店のオーナー・林さんは、不動産関連のITサービス運営も営んでいる方。ダブルワークでも「台湾麺線」を経営できているのは、麺線にかける想いの強さに加え、経理業務を効率化させていることも理由のひとつといえます。

多くの時間を要するイメージの強い経理周りの業務を、どのように効率化させているのでしょうか。店舗開店までの道のりや台湾麺線にかける想いなどもあわせて、林さんにうかがいました。

この記事の目次

「衝撃的だった」麺線との出会い

そうめんよりも細い麺をとろみのあるスープと煮込んだ麺線。静岡県焼津産の鰹節からとった出汁の風味が効いている。どこか懐かしさを感じる味わい

林さん(以下、林):初めて麺線(めんせん)を食べたのは旅行で台湾を訪れた約20年前のこと。あまりの衝撃的な美味しさに、4日間の滞在中は毎日麺線を食べたほどです。台湾に行くときには欠かさず食べ、ときには麺線を食べるためだけに台湾に行ったことも。そうして台湾を訪れるたびに「なんでこんなに美味しい麺線を出すお店が日本にないんだろう?」という想いが膨らんでいきました。

2012年、台湾旅行で友達と飲んでいたとき、「日本で麺線を出すお店を経営しよう!」という話が生まれました。その場の勢いであったものの、ずっと根底にあった「麺線の美味しさをぜひ日本人にも広めたい」という思いが顕在化したのだと思います。飲食店に勤めた経験はなかったものの、「自分で麺線のお店をつくる」と固く決意しました。台湾麺線のオープンから4年を迎えた今も、その気持ちは変わることはありません。

林剛正(はやし・たけまさ)
大阪府出身。慶應義塾大学卒業後、アクセンチュア株式会社にてコンサルタント業務に従事。父の経営する印刷会社で家業を手伝いつつ、株式会社スタイリィを友人と共に創業。一方で、20歳のときに台湾で出会った麺線の味が忘れられず、2014年、38歳にして麺線専門店「台湾麺線」をオープン。

麺線をきっかけに台湾の良さを知ってほしい

当店のコンセプトは「台湾の良さを知ってもらうきっかけとなるお店」。麺線はもちろんですが、私は台湾という国そのものが大好きで、その良さを日本の方たちに知って欲しいと思いました。私の大好きな麺線をきっかけに、台湾に興味を持ってもらいたい。そのためにお店を始めようと思ったのです。

私が台湾に惚れ込んだ理由は2つあります。1つ目は美味しい食事。台湾はなにを食べても美味しい!と言えるくらいに食が充実している国です。しかし、小籠包などのメジャーな料理以外にも美味しい料理がたくさんあることを知っている日本人は、まだまだ少ないのではないでしょうか。

もう1つは台湾人の心の温かさ。東日本大震災で多くの募金を寄せられたことも記憶に新しいですし、町で道を聞いても親切に答えてくれる方がたくさんいます。

麺線を通じて台湾料理の美味しさを知ってもらうことで、台湾の文化、ひいては台湾という国の温かさを知ってもらえることにつながると考えています。

麺は台湾から直輸入

熱々の状態で麺線を楽しんでもらうため、オーダーが入ってから大鍋から小鍋に移し火を入れなおして提供

今では多くのお客様に支持をいただいているものの、開店から今まで決して平坦な道ではありませんでした。

台湾で食べた麺線の美味しさを日本でも味わってほしいという想いがあったため、開店当時から本場の味にこだわっていました。台湾料理の卸業者から直接食材を仕入れ、自分が食べてきた味を極力再現しています。

日本において、モツは茹でられた冷凍のものがよく流通しています。しかし、それではモツのプリプリ感がでない。台湾麺線では、常温の生のモツを仕入れ、毎日お店で仕込んでいます。また、パクチーは鮮度を考え農家より直接仕入れ。

また、絶対に譲れないのが麺です。

台湾で使われている麺を仕入れている会社が日本にはありません。直接輸入しようと考え、台湾に住む友人に台湾の人気店「阿宗麺線」に麺を卸している工場を探してもらいました。

台湾の阿宗麺線。繁華街である西門町店はテイクアウト専門のため、店の前に座りながら、または立ちながら麺線を食べる人たちが多い

そして、首都・台北から約15kmほど離れた工場のオーナーに直談判。中国語がができなかったので、友人に通訳をしてもらいました。

日本は検疫が厳しく、輸入するには手間がかかります。そのため、日本への輸出は前例がありませんでした。オーナーも最初は難色を示します。しかし「僕たちは日本人で、麺線の美味しさを日本に広めたいから卸してもらいたい」と想いを語り2週間かけて説得。なんとか麺を卸してくれることになりました。

横浜港に食品が到着。当時、私は倉庫に行けば受け取れると思っていたのですが、これが大誤算。倉庫から出すには輸入食品に必須の検査書類や税関への申告書類などが必要だと、受け取りにいったときに知ったのです。輸入食品検査・検疫センターや検査機関などを渡り歩き、書類をかき集めて手続きをおこなうこと1ヶ月。輸入したのは真空パックですので、腐ってしまうようなことはなかったものの、無事に受け取れたときには店舗のオープンが3日後に迫っていました。

なんとか間に合ったという安堵感と麺を手に入れた喜びはいまでも覚えています。

シェアキッチンからスタートするものの、3ヶ月後に一時閉店

シェアキッチン時代の台湾麺線。テイクアウト専門だが、店舗前に座って食べられるようなスペースを確保していた

無事に麺も手に入り、東京・虎ノ門のシェアキッチン(※1)で台湾麺線をスタートさせます。東日本大震災で台湾から多くの寄付金が寄せられた感謝を込めて、2014年3月11日にオープン。私は他にも他業種で企業を運営していますが、飲食店の経営は初めて。まずは小規模で始めてみようと思い、店舗は4坪でテイクアウト専門、かつランチタイムのみの営業形態でスタートさせました。

(※1)シェアキッチン……店舗を2つに分け小規模で運営する飲食店の形態のこと。ローコストで開店、営業できるメリットがある。

開店以来お客様からも好評だったのですが、オープンから3ヶ月経ったある日のことでした。オーナーの事情により立ち退きを余儀なくされたのです。弁護士を立てるなどの努力もむなしく、退去せざるを得なくなり一度閉店。

再オープンすべく、心機一転、場所探しから始めることとなりました。

4ヶ月後に再オープン。今では麺線以外の台湾料理も人気

新橋の店舗。白と赤を基調とした店内

私のもうひとつの事業が新橋にオフィスを構えていることもあり、新橋界隈にある小さな店舗で居抜きの物件を探しました。シェアキッチン時代、シェアをしていたお店のシェフを仲間に引き入れ、2014年の11月3日に再オープン。平日はサラリーマンの方、週末は遠くから台湾名物「臭豆腐」を食べに来られる方などもいて、ありがたいなと思っています。

豆腐を発酵させた臭豆腐。生のまま食べる場合と揚げて食べる場合がある。強い発酵臭と刺激臭のある料理のため好き嫌いは別れるものの、独特な風味にやみつきとなる人も

今の店舗に移ってからはシェフが増えたこともあり、ランチのみならずディナータイムの営業も行うようになりました。ディナータイムでは麺線だけではなく、台湾ソーセージやピータン豆腐、菜脯蛋(台湾風オムレツ)などお酒に合うメニューを出すことを心がけています。

麺線以外のメニュー食材も細かい部分にまで気を配っています。

たとえば人気メニューの「魯肉飯(ルーローファン)」に使うお米は農家の方から仕入れ、直接私が精米したものを提供しています。精米したての米は全然味が違います。冷めてもおいしいお米を使っているので、お客様の中には冷やしたご飯が好きで、持ち帰ったあとあえて冷ましてから食べる方もいらっしゃるようです。

麺線と農家から購入している米を自宅に備蓄しているので、店に食材を持ち込むために足を運びます。

 freeeを使って確定申告の所要時間を5分に

こうして台湾麺線を営んでいる私ですが、もうひとつの事業の兼ね合いもあり、店舗に顔を出せるのは週に1日ほど。私がいなくてもお店がまわるよう、経理まわりやバックオフィス業務の効率化と、遠隔でも管理が可能な方法を考えました。

そこで候補にあがったのが、会計ソフト『freee』です。

freeeは帳簿作成や経費精算などの会計・経理まわりの業務や給与計算や勤怠管理などの人事労務業務をオンライン上で集計できるサービスです。いちいち電卓を弾く必要なく、必要な計算を自動でおこなえます。

もうひとつ事業をおこなっていた関係で確定申告の経験もありましたし、税務関係のことは頑張れば、税理士に頼まず自分でできるかなと思って経理ツールを探していたとき、クラウド会計ソフト・freeeの存在を知って、導入しました。

freeeで利点を感じるのは主に4点。1点目は、銀行口座やクレジットカードの口座のデータが自動で登録されること。台湾麺線では仕入れを極力クレジットカードを使っているのですが、手で入力する手間が省け、経理業務にかける時間はトータルで月に2時間程度におさまっています。

2点目は経理関係書類をオンライン上で一括管理できること。台湾麺線では、会計としての取引が年1万件。それを手作業で管理するのは骨の折れる業務。極力紙の領収書を出さないために、クレジットカードと銀行振込を利用します。freeeはクレジットカードの明細とデータを同期できるので、自動で帳簿が作成されます。そのため、手入力がが必要な紙の領収書は30件〜80件程度です。

3点目は従業員の給与明細や源泉徴収票もまかなえること。以前はExcelで管理していたため、従業員への送付作業を含めると毎月3〜5時間ほどかかっていました。しかし、freeeでは給与明細の発行も15分ほどで終わります。従業員は「人事労務freee」にログインしてオンライン上で給与明細を確認できます。また、経理周りのデータがまとまっています。確定申告に特化した「確定申告freee」を使えば、必要データが自動で記載されるので今年の確定申告にかかった時間は5分で終わりました。

4点目は、支払い漏れを防げること。freeeでは、登録した請求書の支払期限を設定できます。登録した請求書は一覧のページで赤の「!」マークが出るので、支払いしていないものは一目瞭然。万一支払い漏れが発生してもすぐに気付けます。

POSレジアプリと連携させてマーケティング施策を考える時間を捻出

売上管理のために、Airレジもfreeeと同時期に導入。Airレジのデータはfreeeと同期できるので一晩に一回、レジの売り上げが自動でfreeeに転送されるよう設定しています。レジ締め時には手元の現金を勘定し、仮に誤差があった場合にもAirレジに登録しておけば誤差が生じたときもfreeeですぐに確認できます。

一日の売上がすぐに把握できるので、経理業務の時間短縮はもちろん、お店以外の場所にいても経営状況を可視化するのにも一役買っています。毎月の利益がどれくらい出ているのかも一目で把握でき、経費をかけ過ぎている部分がはっきり分かります。

廃棄が多ければ仕入れを抑えたり、人件費にかかる経費が多ければ、売上の少ない時間には人員を減らすようシフトを調整して、かかる経費を抑えたりなど、可視化することで何をすれば良いかがはっきりわかるのもメリットのひとつですね。

業務効率化でうまく「空いた」時間には、スタッフとのミーティングや、台湾麺線のメニューやPR方法など、さまざまなアイデアなどを生み出す作業に使っています。特に力を入れているのはマーケティング。台湾フェスには毎年必ず参加して台湾好きの間でお店の知名度を上げたり、麺線を日本で食べられると知らない方のために、FacebookやTwitterなどのSNSを更新したりしています。

更新のみならず、Twitterでは「麺線」でツイートしているユーザを探し、台湾麺線をフォローされていないようであれば、「いいね(ハートマーク)」を押します。「いいね」を押したアカウントはTweetした人間からは確認できるので、そこから台湾麺線を知ってもらえれば、と思って始めた取り組みです。

認知度を高めるために、UbarEatsなど新しいサービスも積極的に活用するようにしています。また、ネットを見ない層に「麺線が日本で食べられる」ということを今後どのようにアピールしていくかも課題だと感じています。

目指すは「日台を結ぶ架け橋」に

繰り返しになりますが、台湾麺線が目指すのは「台湾文化を知ってもらうきっかけになること」です。

私は親善大使のような気持ちでいるくらい、台湾のことが大好きで、台湾料理の美味しさや人の良さを多くの日本人に知ってもらいたいと考えています。事実、お店に来られるお客様には常に訪台を勧めています。

また、可能であれば全国でお店を出したい。今は夢ですが、いつかは実現させたいです。当店の麺線が台湾と日本とを結ぶ「架け橋」になることを願って、これからも美味しい台湾麺線をつくり続けていきたいと思っています。

まとめ

林さんの熱い想いから始まった、「台湾麺線」。「日本のみなさんに台湾の美味しさを知ってもらいたい」と願う背景には、林さんの「台湾が大好き」という熱い気持ちがあるからに他なりません。

台湾で製麺所に直談判して麺を仕入れ、一度は立ち退きに伴う閉店の危機が訪れるなど、困難に立ち向かい続けている同店。飲食店経営は決して容易な道ではないことに加え、他の事業も営まれているというハードな環境のなかでも、麺線を日本に広めてくれるでしょう。

台湾麺線
新橋駅より約徒歩9分に位置する麺線専門店。麺線の他にも、魯肉飯や臭豆腐など、台湾料理が味わえる。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

高根千聖(たかね ちさと)氏

高根 千聖(たかね ちさと)編集者

株式会社ZINEの編集者。編集プロダクションで週刊誌の編集・ライター業務に従事。その後、制作会社にて紙媒体やWEBサイトのディレクション、編集・ライター業務に携わる。得意ジャンルはビジネスやグルメ、芸能など。

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