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補助金ガイド~中小企業に有利な補助金や基礎知識を解説~

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

補助金

補助金とは何か、いつ交付を受けることが出来るのか、公募とは何か、いくらもらえるのかなど、補助金にまつわる疑問は数多くあります。同じような性質のものとして助成金もありますが、補助金との違いや補助金の具体的な申請手順なども解説します。

この記事の目次

補助金とは?交付されるためのポイント

補助金とは、国や地方公共団体が、特定の事業を実施する会社や個人を選定し、事業を補助するための金銭給付を指します。補助金の対象となる事業の特徴として、国や地方公共団体の支援を必要とした事業や、今後の政策目的で推進したい事業が選ばれます。これとは別に、補助金や助成金という名称を用いていますが、公益財団法人などが公益性を考えて独自に支援を行う補助金(研究開発事業や福祉事業など)も存在します。

補助金と助成金の類似点と相違点

一方で、助成金とは、厚生労働省が管轄し、雇用促進や労働環境の改善を目的として、企業を支援する給付制度です。補助金も助成金も借入ではありませんので、「返済不要」な資金である点で共通します。またどちらも交付までの期間(半年~1年程度)が長くなりますので、計画的に申請する必要があります。

交付の違い

補助金は、申請によって必ず補助を受けられるというものではなく、たくさんの応募の中から事務局(各補助金を管理する団体)が審査し、採択(補助金が交付される事業者に決定)されることで交付が決定します。一方、助成金は要件を充たせばほとんどの方が交付を受けられます。

管轄の違い

助成金は主に厚生労働省が管轄するのに対して、補助金は補助金適正化法により制限を受ける給付を指します。なお、会社の事業に関係する補助金は主に経済産業省管轄のものになります。なお、地方公共団体によっては、補助金と似た性質のものを一律で助成金と表現することもあります。

補助金の交付を受けるためのポイント

補助金については、申し込みをした後に採択されなければもらえません。また採択率は補助金の種類で異なりますが、IT導入補助金を例にすると40~50%程度(毎年の予算枠や申込者数によって異なる)しかありません。この選考にあたって、加点ポイントも存在しますので、交付の確率を少しでも上げたい場合には、「募集要項」に記載された加点ポイントを押さえておくことをお勧めします。

令和2年(2020年)IT導入補助金の加点ポイントの詳細例

  • 固定資産税の特例率をゼロとする意向を表明した自治体に所属していること

    参考:中小企業庁「固定資産税ゼロの措置を実現した自治体」

  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること
    地域未来投資促進法に基づいて、地域の特性を生かした成長性の高い分野への取り組みを行う事業に対しては加点の対象とされています。また、地域経済牽引事業計画は承認を受けられると当該補助金の加点以外にも、税制優遇(事業税の減額等)や日本政策金融公庫からの融資(地域活性化に関するもの)にも有利に働きます。

    参考:経済産業省「地域経済牽引事業計画のガイドライン」

  • 経済産業省が選定する「地域未来牽引企業」であること
    経済産業省は地域未来牽引企業の選定基準を以下としています。
    『地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手、および担い手候補である企業を「地域未来牽引企業」として選定しました。』(経済産業省「地域未来牽引企業の選定」より引用)

          参考:経済産業省「地域未来牽引企業」

  • 導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること
  • 本事業を通して取り組む事業において、在宅勤務制度を導入するためのテレワークの導入を行う事業者であること

中小企業に代表的な補助金

補助金は数千万円~数億円のものから、比較的少額なものも存在します。金額が大きいものは、競争率も高く加点要件を充たした企業が優先して採択される状況にあります。そのため、中小企業には手を付けにくいのが現状です。
ただし、中小企業庁にて公表されている補助金は高額なものは少ないものの、中小企業をターゲットとしていますので、中小企業を中心に採択されています。

参考:中小企業庁「現在公募中の支援事業・補助金等

中小企業、小規模企業に有利な補助金一覧

補助金の種類や内容は毎年変わっています。また、これに伴って同じ補助金でも加点のポイントが変更されています。公募期間は1~2ヵ月と非常に短いため、公募内容が発表されたらすぐ要件等を充たすか確認する必要があります。
なお、ここでは令和2年(2020年)、中小企業や小規模企業が比較的受けやすいおすすめの補助金を3点ご紹介します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓に関する経費などを一部補助することで、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的な発展を目的とした補助金です。

項目

内容

要件

・「経営計画」に基づいて実施する、地道な販路開拓等のための取組であること
・販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化のための取組であること
・商工会の支援を受けながら取り組む事業であること

補助対象者

小規模事業者であること

補助上限

50万円

補助率

2/3

加点ポイント
  • 新型コロナウイルス感染症に関するもの(感染者がいる場合や売上が減少した場合)
  • 賃金総額の引き上げによるもの
  • 事業承継を目的とした補助金の申請である場合
  • 経営力向上計画の認定を受けている事業者
  • 地域未来牽引企業である事業者
事務局

全国商工会連合会

参考:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金 募集要項
参考:中小機構「ブランド力を高めたい商品を宣伝したいHPを開設したい」

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金は、今後複数年にわたり国が制度変更(賃金引上げや雇用保険の適用拡大等)をしていく中で、これらに対応する目的で、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する目的の補助金です。

項目

内容

要件

以下を充たす3~5年の事業計画の策定及び実

  • 付加価値額 +3%以上/年
  • 給与支給総額 +1.5%以上/年
  • 事業場内最低賃金≧地域別最低賃金 +30円
補助上限

1,000万円(要件を充たせば3,000万円、1億円を上限)

補助率

1/2 (小規模事業者等2/3)

加点ポイント
  • 経営革新計画の承認を取得した事業者
  • 小規模事業者、創業、第二次創業間もない事業者(5年以内)
  • 災害等(新型コロナウイルス関係や2019年房総半島台風及び令和元年東日本台風の被災も含む)の影響を受けてサプライチェーンの毀損に対応するための設備投資
  • 事業継続強化計画の認定を受けた事業者
事務局

ものづくり・商業・サービス補助金事務局(全国中小企業団体中央会)

参考:中小機構「ものづくり・商業・サービス補助金がさらに使いやすくなりました」
参考:ものづくり・商業・サービス補助金事務局 募集要項

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者等が生産性の向上を目的としてITツール(ソフトウェアやサービス等)を導入する経費の一部を補助し、中小企業、小規模事業者等の生産性向上を支援する目的の補助金です。

項目

内容

要件

A型とB型の二つがあり、それぞれ要件が異なる

  1. A・B共通の要件
    労働生産性の伸び率:1年後3%以上かつ3年後9%以上の伸び率が必要
  2. プロセス(※)の違い
    A型事業:業務プロセスと効率化プロセス・汎用プロセスから2つ以上。ただし、業務プロセスからは1つ以上必須
    B型事業:業務プロセスと効率化プロセス・汎用プロセスから5つ以上。ただし、業務プロセスからは1つ以上必須
    ※)プロセスの意味
    業務プロセスは、顧客管理や債権管理、会計処理などのプロセスを指します。効率化プロセスは当該業務プロセスを効率化するための自動化システム等を指し、汎用プロセスは、全体プロセスに対して汎用化されたシステム(例えばグループウェア等)を指す
    ※IT導入補助金についてはIT導入支援事業者と協力し合って申請を行う
    (参考)一般社団法人サービスデザイン推進協議会「申請・手続きフロー」
  3. 給与引き上げ要件
    B型事業のみ:
    ・給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる計画
    ・3年間事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準とする計画
補助の対象

IT導入支援事業者が登録するITツールを導入するための導入費用を一部補助する

補助上限

A型事業:30万円以上 150万円未満
B型事業:150万円以上 450万円未満

補助率

A型事業:1/2    B型事業:1/2

加点ポイント
  • 固定資産税の特例率をゼロとする意向を表明した自治体に所属していること
  • 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること
  • 経済産業省が選定する「地域未来牽引企業」であること
  • 導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること
  • 本事業を通して取り組む事業において、在宅勤務制度を導入するためのテレワークの導入を行う事業者であるか
事務局

サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局

参考:中小機構「経営状況を見える化したい業務を自動化したい働き方を改革したい」
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局 募集要項

なお、中小企業者と小規模企業者とで補助率等が異なるものが存在しますが、中小企業基本法では、中小企業者の範囲と小規模企業者の定義を次の表のように規定しています。

業種 中小企業者 小規模企業者
資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数 常時使用する従業員の数
1.製造業、建築業、運輸業(2~4以外) 3億円以下 300人以下 20人以下
2.卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
3.サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
4.小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

参考:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」

補助金交付までの流れや必要書類について

国や地方公共団体からの補助金は種類によって交付までの細かな流れや必要書類が異なりますが、全体としての流れは補助金適正化法により定めがあるため、似たような流れになってきます。

(1)申請書作成

 申請する補助金の申請様式をダウンロードに「申請書」に記入の上、管轄の事務局に提出する
 (※電子申請に対応している補助金の場合、事務局にてIDを発行してもらい申請を行う)

 必要書類:応募申請書、事業計画書、経費明細書、事業要請書等

(2)採択

  1. 事務局から交付を受ける事業者として選定された場合「選定結果通知」が届く
  2. 補助金交付規程を確認し「補助金交付申請書」に記入し事務局に提出
  3. その後「交付決定通知書」を受領

 必要書類:選定結果通知、補助金交付申請書、交付決定通知、補助金交付規程

(3)事業実施

  1. 事業を実施する
  2. 計画に変更がある場合には「変更申請」を事務局へ提出する
    (補助金の種類によって、中間の審査等がある)

必要書類:計画変更申請

(4)補助金受取

  1. 実績報告書や証拠を事務局へ提出(事務局から質問等もある)
  2. 補助金額確定通知を受領
  3. 事務局へ請求書を作成し発行
  4. 補助金を受領

必要書類:実績報告、領収書等、補助金額決定通知、請求書(様式あり)

他にはどんな補助金がある?サポートサイト等のご紹介

国や地方公共団体が行う補助金以外に公益財団法人等が行う補助金、助成金を含めると数があまりに多く、自分に合う補助金を見つけるだけでも苦労します。そこでおすすめのサポートサイトをご紹介します。

国や地方公共団体が行う補助金の検索

中小企業庁 補助金公募案内
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/

中小企業庁 事業者向け補助金・助成金一覧令和2年(2020年)版
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2020/download/11sakuin.pdf

ミラサポ 地方公共団体などの補助金を検索
https://map.mirasapo.jp/

国以外(企業等)が行う補助金、助成金を含む検索サイト

独立行政法人 中小企業基盤設備機構が運営する『J-Net21
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support/

公益財団法人助成財団センターのデータ検索
http://www.jfc.or.jp/grant-search/guide/

(新型コロナウイルス関連の情報は2020年4月22日時点の情報です)

新型コロナウイルスに関する支援情報

新型コロナウイルスに関連して地方公共団体が「休業協力金」という形で支給を予定しています。厚生労働省は助成金について、要件緩和や再受付により休暇を促進しています。今後もコロナウイルスに関する支援の情報は増えていきますので、逐一ポータルサイト等から確認してください。

Airレジ マガジンでもまとめ記事を作成しておりますので、ご覧ください。

※不明点などについては、各省庁の案内するお問い合わせ先にご連絡ください。
※新型コロナウイルス関連の情報は2020年4月22日時点の情報です

地方公共団体による休業協力金(一例)

助成金関連

公益財団法人による助成金

まとめ

  • 補助金、助成金は返済不要な国からの支援金
  • 補助金は採択されなければ受けられない
  • 交付金受領までは期間が長くすぐにお金を貰えるわけではない
  • 国や地方公共団体以外にも補助金を交付する企業が存在する

補助金は事業拡大の後押しとなるものが多い一方で、採択率の低さから中々手を付けづらいという特徴を持ちます。少しでも選定してもらえる確率を上げるべく、加点ポイントを予め確認しておき、専門家(経営改革支援認定機関等)と密にコミュニケーションを取りながら、計画的に補助金の受給を目指すことをお勧めします。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

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