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退職者が出た時の離職票ってどう準備する?トラブル事例も紹介

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

離職票は離職者が出た場合に用意が必要な書類の一つです。なぜ離職者に離職票が必要になるのか。どうすれば用意できるのか? 離職票を発行するためには何を作成すればいいのか? その作成方法は? など、それぞれのお悩みを解決します。

この記事の目次

離職票とは?

離職票とは、正式には「雇用保険被保険者離職票」と言います。雇用保険に加入している従業員(被保険者)が退職する際に事業主が発行の手続きを行ない、事業所を管轄するハローワークが交付するものです。離職票は「雇用保険被保険者離職票-1(資格喪失確認通知書)」と「雇用保険被保険者離職票-2」で構成されています。離職者がハローワークから基本手当(失業給付金、失業手当)を受給する際にも必要となる書面です。離職票は公的な文書ですので、書面形式がしっかりと決まっています。

(参考)離職票のイメージ

・雇用保険被保険者離職票-1

・雇用保険被保険者離職票-2

出所:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス

離職票が必要になる場合とは?

離職票の発行手続きは、離職者が59歳以上の場合は全員に対して、59歳未満の場合は、本人から求められた場合のみ必要です(雇用保険法施行規則第7条2項)。59歳未満の方が離職される場合には、離職票が必要かどうか本人に確認して下さい。本人がわからない場合は、ハローワークに確認しましょう。

離職票の発行手順

ハローワークに離職票を発行してもらうために、事業主側は「離職証明書(正式名称は雇用保険被保険者離職証明書)」と「雇用保険被保険者資格喪失届」の作成が必要です。これらをハローワークへ送付し、離職票を受け取ったら、離職者へ渡すことで事業主が行う退職手続きは完了します。
なお、ハローワークへの提出は離職日以降、離職10日以内に提出するよう決められています(例えば3月31日退職の場合、4月1日~4月10日までの間)。

離職票発行に必要な書類の作成方法

離職票を発行してもらうのに必要な離職証明書、及び雇用保険被保険者資格喪失届の作成方法について解説します。離職手続きの経験が少ない事業主にとっては、完璧に作成するのは難しいと思いますが、少しでも作成の助力になるように、順を追って細かく記載します。

離職証明書の書き方

離職証明書は3枚綴り(事業主控、安定所提出用、雇用保険被保険者離職票-2)になっています。これらの離職証明書に必要事項を記載した上で、離職者から必要な箇所へ記入してもらいます。作成が完了したらハローワークに送付しましょう。
以下、離職証明書の作成方法一例(事業主控えをベース)を記載しますが、3枚綴りはそれぞれのページで内容が少し異なるので注意が必要です。また、離職理由については詳細までしっかり記載しましょう。離職理由によって離職者に給付される基本手当の支給時期、期間や総支給額が異なりますが、最終判断はハローワークが行います。

(参考)離職証明書のイメージ
・離職証明書

出所:日本年金機構  6.雇用保険関係

  1. 雇用保険被保険者番号を記入
  2. 雇用剣事業所番号を記入
  3. 退職者の氏名を記入
  4. 退職日を記入
  5. 事業所の名称(社名や屋号)、所在地、電話番号、代表者氏名を記入
  6. 退職者の住所、電話番号を記入
  7. 離職理由で該当するものを選んでください。その上で具体的な原因も記入するようにしましょう。なお、離職理由によって添付書類(例を記載)が異なります。
  8. 一般被保険者等はA欄、短期雇用特例被保険者※1の場合にはB欄へ離職日から遡る形式で1ヵ月ずつ日時を記入(記入しない場合には斜線を記入)
  9. 給与の算定基礎日数(固定給の場合には歴日数を記入)
  10. 給与計算の計算開始日から締め日を遡る形式で記入
  11. ⑨と同様に実日数を記載(固定給の場合には歴日数を記入)
  12. 固定給の場合にはA欄に総額を記入、労働日数や時間給の場合にはB欄に総額を記入
  13. 未払いの給与などがある場合に記入
  14. 毎月支払われている給料以外で「3ヵ月以内ごと」に支払われているものを記入
  15. 離職者本人の署名捺印(本人からもらえない場合理由を記載の上事業主が捺印)

※1 短期雇用特例被保険者とは、季節労働者のうち以下の2点に該当しない労働者です。

  • 4ヵ月以内の期間を定めて雇用される者
  • 1週間の所定労働時間が30時間未満である者

(例)離職理由別添付書類

倒産による離職 倒産手続の申立てを受理したことを証明する書類、解散の決議の議事録
定年によるもの 就業規則など
労働契約期間満了等によるもの 労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書など
解雇や重責解雇によるもの 解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など
希望退職や退職勧告によるもの 希望退職募集要綱、離職者の応募の事実が分かる資料
労働環境の判断によるもの 給与明細書、賃金低下に関する通知書、タイムカードなど
嫌がらせがあった場合 採用時の労働契約書、特定個人を対象とする配置転換の辞令など

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

雇用保険被保険者資格喪失届は、離職証明書と共にハローワークへ提出しなければいけない書類ですが、ハローワークインターネットサービスで必要項目をパソコン上で入力した上で、印刷する事でも作成できますので、離職証明書の作成と比べると簡単です。記入箇所は、「1.個人番号」から「10.新氏名」、「19.被保険者氏名」から「25.被保険者でなくなったことの原因」です。14~18は被保険者が外国人の場合に記入が必要です。

(参考)雇用保険被保険者資格喪失届のイメージ
・雇用保険被保険者資格喪失届

出所:(例:厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」)

離職票と退職証明書との違い

退職証明書は退職を証明するための書類で、退職者が求めれば事業主は発行する義務があります。離職票と違い私文書なので決まったフォーマットはありませんし、「退職者がハローワークから基本手当(失業給付金、失業手当)を受給する際に必要になる書面」としての効果を持ちません。離職票が正当な理由で遅延している場合、離職者が「基本手当の仮手続き」として用いる場合や、前述した「離職理由」の理由資料として使う場合があります。また、退職者が転職先に提出する事で以前の業務の内容を保証するような使い方もできます。退職証明書に記載する内容として、労働基準法では以下の5点の記入を求めています。

  1. 使用期間(試用期間を含めることもできる)
  2. 業務の種類
  3. 地位・役職
  4. 賃金
  5. 退職理由

これらの内容の全てを記載しても良いですし、省略しても構いません。離職者の必要に応じて記載する内容を増やしても問題にはなりません。

オーナーが注意すること・よくあるトラブル

従業員の退職は、会社や組織にとってはイレギュラーな事態です。そのため離職時の手続きに不慣れで、トラブルになるケースもしばしば見受けられます。トラブル事例をご紹介しますので参考にしてください。

離職後期日内に対応できなかった事例

離職証明書及び雇用保険被保険者資格喪失届は、離職日以降10日以内の提出が義務付けられているものの、期限内に手続きが出来ず、離職者が労働基準監督署に駆け込んだ。その後も催告があったにもかかわらず、本業が忙しいため手続きをしなかった結果、雇用保険法第7条違反となり、雇用保険法第83条の規定で6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が言い渡されてしまった。

離職者が離職票の提出を求めてきたが拒んだ事例

離職者が離職票の提出を求めた場合、事業主は必ず発行手続きを行い、離職者に渡す義務がある。「本業が忙しい時期に勝手にやめた」という理由で拒み続けた事業主は、雇用保険法第76条第2項の報告違反となり、前述同様の罰則にて、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が言い渡されてしまった。

その他、退職時の書類の注意点

離職証明書など退職時の書類は指定があるため、空欄を埋めていけば間違いがなく進めることが出来ますが、離職証明書については「捺印箇所」に注意が必要です。特に、「捨印」が無いために受理されないというケースが非常に多いです。捨印は本来「間違っているものがある場合に訂正印として利用するもの」ですが、離職証明書では間違いの有無に関わらず指定の場所に「捨印」を押しておかないと受理されません。特に離職証明書の綴り2枚目(安定所提出用)については細心の注意を払い、記入及び捺印不足が無いかチェックしましょう。

まとめ

  • 退職者から離職票を求められたら「必ず」準備する
  • 離職票を発行してもらうには、離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出する
  • 離職証明書の離職理由はハローワークがしっかり判断できるように細かく記載すること
  • 離職証明書の捨印は忘れずに

従業員が離職するというのは、事業主にとっても喜ばしいことではありません。しかし、従業員にも生活や家庭があり環境が変われば退職を決意せざるを得ない場合もあります。離職票の準備がスムーズに行えるように熟読し、離職者が前進できるように後押ししてあげましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

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