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「困ったら雑費」はNG。「雑費」として仕訳していいもの・悪いもの

雑費

日々の会計処理の中で、「適切な勘定科目がわからない」と迷ったことがあると思います。しかし適切な勘定科目が分からないからといって「雑費」を使っている方は要注意。雑費はどのようなときに使うものなのか、なぜ使ってはいけないのかを解説していきます。

この記事の目次

雑費とは?

雑費とは、支出した事業上の経費に適切な勘定科目が当てはまらない、もしくは少額で重要性が乏しい費用の場合に用いる勘定科目です。実務的には、適切な勘定科目が思い当たらない場合に一時的な勘定科目として用いることもあります。そのため、雑費は決算を迎えるにおいて限りなく少額にしておきたい勘定科目です。

雑費として計上する主な項目

雑費は、事業に関連した経費であることは間違いありませんが、適切な勘定科目が見当たらない場合や、一時的に用いるのが一般的です。雑費と仕訳する取引であっても取引件数が多いものについては、「新たに勘定科目」を作成します。しかし、以下のような事業上の支出の場合には、金額も少ない場合が多く、新たな勘定科目を設定する必要もないので雑費として処理します。

  1. お守り代やお札等
    事務所や店舗などに置くお守り代やお札については、適切な勘定科目がありません。消耗品でもないので雑費として処理します。
  2. キャンセル代
    会合などで予約していた店舗に行けなくなりキャンセル代を払った場合、地方へ飛行機で出張に行く予定がキャンセルになった場合のキャンセル料などは雑費として処理します。
  3. 臨時的な清掃費
    飲食店で随時清掃を頼んでいる場合は、清掃費という勘定科目を作成することをオススメしますが、他の事業で年に一回程度清掃を依頼した場合の清掃費は雑費として処理します。

雑費を使う場合の注意点

雑費は、適切な勘定科目が当てはまらない、もしくは少額で重要性が乏しい費用と判断した場合に用いる勘定科目です。しかしながら、雑費を多く用いると税務署からは「しっかりと帳簿を作っていない」とみられてしまう勘定科目でもあります。そのため、雑費を用いる場合には必ず摘要欄に詳細を記入するようにしてください。

雑費と消耗品費の違いは?

雑費

消耗品費は物品や備品、事務用品などを購入した際に、価格が10万円未満、もしくは「使用できる期間が1年に満たない場合」に用いる勘定科目です。

消耗品費として処理する例には、下記のようなものがあります。

文房具:ボールペン、用紙、修正液など
会社用品:印鑑、封筒など
PC用品:パソコン周辺機器、10万円未満のパソコンなど
日用品:電球、トイレットペーパー、掃除用品など

雑費なのか消耗品費なのか迷うもの

先に挙げた例の中でも、日用品は消耗品費なのか雑費なのか迷う方がいらっしゃいます。消耗品費は「会社の事務に関係するもの」と思っている方が意外にも多いため、消耗品費よりも雑費の方が正しいと判断しがちです(事務用品費と混在している)。しかし、消耗品費は「会社で消耗する物全般」に用いることが出来る勘定科目のため、雑費よりも消耗品費として処理する方が適切です。

雑費・消耗品費に上限金額はある?

経費科目には「限度額」と言うものは存在しませんので、実際に使ったものが事業上の必要経費であれば、全て経費として処理することが出来ます。しかしながら前述の通り「雑費を使いすぎると税務署に良く思われない」と言うことも事実です。つまり、こうした税務署目線から見たときに「経費の限度額」という概念が生まれます。なお法人の場合、交際費については限度額(800万円もしくは接待飲食費の50%)が定まっています。

消耗品費の限度額は?

消耗品費に限度額はありません。しかしご自身の事業で、商品の仕入れ以外にも店舗の装飾にこだわりを持っており、たとえば生花を頻繁に買い替えている等、消耗品費を多く使っているという実感がある場合には、あらたに専用の勘定科目を作成し会計処理することをおすすめします。そうすることで、経営状況に応じた経費の見直しなどがしやすくなります。

雑費の限度額は?

雑費も、事業上の必要経費であれば、いくら使っても問題ではありません。しかし企業会計は、「決算書によって事業の状況を正確に判断できるようにする」ことを第一目的としています。雑費が多すぎる決算書では事業の状況を判断できず、企業会計の目的が達成できません。つまり、雑費が多すぎると「何だかよくわからない決算書」という位置づけになるので、税務調査で「事業の状況をしっかりと調査」されることに繋がってしまいます。
では、雑費として認められる金額はいくらぐらいなのか? 限りなく0円が望ましいですが、一般的に「経費科目の総額×5%程度」までなら良い、と考えられています。

(参考)税務調査と雑費の関係
税務調査は、「税務署が行う、確定申告の内容が正しいかどうかの調査」です。確定申告は自分で計算した所得を税務署に届け出ることで税金を計算する仕組み(申告納税制度)を採用していますので、意図的に所得を少なく申告することも可能になってしまいます。そこでもし仮に税務署が「この確定申告書、怪しいな」「この確定申告書、どうなっているのだろう」と思った場合、「確定申告の内容が正しいか見極める」ための税務調査が実施されます。
税務調査自体は1~2日間の実地調査を前提にしているため、その間の事業活動がストップし、売上に影響を与えます。また実地調査後も税務署が必要に応じて書類を持ち帰り、署内で引き続き調査を進めますので、1~2ヵ月ぐらいは調査対応が必要になります。 もし調査の結果、確定申告の内容に誤りがあれば「不足分の税金+加算税+延滞税」を徴収されることになり、事業活動への影響以外にも追加納税という支出が生じます。 雑費は「通常事業上の勘定科目として用いない科目」を集計する科目ですので、雑費が多ければ「普通の事業をしていない」という意味に捉えられかねません。そういう意味でも雑費は極力使わず、頻繁に出てきそうな経費であれば「別の勘定科目」を設定することをオススメします。

雑費・消耗品費よくある質問

雑費

雑費や消耗品費についてよくある質問をまとめました。参考にしてみてください。

Q1.雑費はあまり使わない方がいいと聞いたのですが、一体なぜでしょうか?

A1.本来の会計基準の目的は「決算書によって事業の状況を判断できるようにすること」であり、事業の状況を正確に判断できるよう設定されているのが「勘定科目」です。勘定科目は、広く一般に事業活動のことを念頭に置き設定されているので、これらの勘定科目に区分できない取引は「イレギュラーな取引である」と置き換えることが出来ます。つまり、雑費が多いということはイレギュラーもしくは、事業活動に関係のない支出が多いのではないかという疑念を生みやすく、税務調査の引き金になるということです。

Q2.遠方へ出張の予定でしたが、緊急事態宣言が延長になったため出張をキャンセルしました。この場合のキャンセル料についてはどのような扱いになりますでしょうか?

A2.キャンセル料は、雑費として処理することが適切な取引の1つです。当然必要経費として処理することになりますが、このキャンセル料については、性質によって「消費税の区分」が異なってきます。

  1. 解約に伴う事務手数料
    解約の時期に関係なく、「キャンセルの場合に一定額発生するキャンセル料」については、事務手数料に区分されるため、消費税が課税されます。
  2. 逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料
    「本来得ることができたであろう利益がなくなったことの補填金」の場合、たとえば本来キャンセルが無ければ航空会社が得ることになっていた利益を得られない(逸失利益)等に対しては、損害賠償の位置づけでキャンセル料が請求されます。この場合の損害賠償に関連するキャンセル料については消費税が課税されません。
  3. 1と2が混在したキャンセル料
  4. 明確に区分できない場合には、消費税を不課税として処理することになります。

参考:国税庁 No.6253キャンセル料
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6253.htm

Q3.去年までの決算書では、日用品を全て雑費として処理していました。今年から消耗品費として処理して問題ないでしょうか?

A3.もともと「消耗品費」として処理すべきものを、雑費として処理してしまっていたものを正しくすることなので、会計処理上は問題ありません。しかし、この変更により決算書のバランスが著しく変化する場合には、注意が必要です。

例えば、去年までの決算書では消耗品費の割合が経費の10%程度だったのに対し、雑費を加えた結果、経費の20%まで増加する場合には、「消耗品費が倍になっている」と思われてしまいます。
そのような場合、個人事業主は、青色決算書にある「本年中における特殊事情」という欄に勘定科目を変更した旨を記載すると、金額の影響を明確に判断することが可能です。法人の場合には、決算書に添付する「注記表」に、会計処理を変更した旨・及び理由を記載しておくと、金額の影響を明確にすることができます。

まとめ

  • 雑費は適切な勘定科目が無い場合に用いることが多い
  • 雑費を使う場合、摘要欄は正確に記載しておく
  • 雑費が多いと税務調査リスクが高くなる

雑費は何にでも使えそうな勘定科目である一方、使いすぎると税務調査リスクが高くなる勘定科目でもあります。雑費は限りなく0円が望ましいと私は考えていますので、今まで雑費を多用していた方は勘定科目の変更を検討してみてください。なお、決算書への影響が出そうであれば説明を記載することもお忘れなく。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

https://sola-cpa.com/

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