飲食業界未経験ではじめた日本茶専門店。業務改善のため「PDCA」を導入した経営術
いつかは自分の飲食店をひらきたい——日々会社で働きながら、飲食店経営の夢を描いている方、いませんか?
東京・渋谷に店を構える日本茶とおにぎりのカフェ「CHAKAS(チャカス)」。この店舗を開業した代表の染谷さんは、リクルートでサービス企画マネージャーとして日々忙しく働きながら、在職中に副業で理想の店舗をつくることに成功しています。
2017年4月に1号店をオープンし、2018年3月には2号店のオープンを控えるなど、順調に成長を遂げている同店。飲食店経営未経験ながら会社員ならではの視点をいかした、店舗の業務改善方法を染谷さんにうかがいました。
この記事の目次
心と身体のスイッチをすっとオフにできる空間を作りたい
CHAKAS 染谷さん(以下、染谷) 「CHAKAS」のコンセプトは、毎日気軽に立ち寄れるデイリーユースの「お茶屋さん」。一般的なコーヒーショップのように、人々が何の気兼ねもなく過ごせる空間を目指しています。
仕事をしているとコーヒーを飲む機会が増えますよね。朝の目覚まし代わりだったり、スイッチを切り替えるためだったり。僕自身も会社員時代は、そうでした。さらには胃痛や偏頭痛に悩まされることも日常茶飯事。心や身体が疲れているときは、無理にシャッキリさせるより、ふっとリラックスさせた方が、前に進むエネルギーがわいてくることがあります。スイッチをすっとオフにするためのきっかけとして、「CHAKAS」の日本茶を飲んでほしいんです。
染谷 崇裕(そめや・たかひろ)
2007年楽天株式会社に入社したのち、2011年株式会社リクルート(現:リクルートジョブズ)に転職。在職中にCHAKASをオープンさせ、2017年6月にリクルートを退職。現在は株式会社CHAKASの代表取締役。
お茶のリラックス効果に驚き、お茶専門店のオープンを決意
染谷 僕は2007年に新卒で楽天に入社して、Webサービスのプロデューサーをやっていました。その後2011年、リクルートに転職して求人媒体を担当します。もともと起業願望があったので、在職中の2016年10月に会社を設立し、店舗探しを始めます。
いくつか不動産仲介会社をまわったのち、事業内容やコンセプトまで細かく聞いてくれる営業さんに依頼。営業さんと信頼関係を築くためにも、出店計画やコンセプトについて具体的に話し、こちらの真剣度合いを伝えました。
はじめからメインの客層は会社員の方々をと想定。条件は「オフィスが多いエリア」、「居抜き物件」「台形など、変わった間取りでないこと」「前の借り手がネガティブな理由で退去していないこと」で探し、渋谷で合致する物件を見つけ、申込み。「CHAKAS」1号店をオープンさせたのは2017年4月のことでした。
その後6月にリクルートを退職し、本格的に会社経営と店舗運営を始めたところです。
飲食で起業しようと決めたのは、ずっとインターネットの世界で仕事をしていて、リアルな商売への憧れを持っていたから。人と直接関わることができるビジネスで、なにか新しい価値を作りたい。そう考えたとき思い出したのが、お茶を飲んで心がふっと落ち着いた瞬間でした。
会社員時代は、朝の眠気覚ましや昼休み後の気分の切り替えのために、毎日何杯ものコーヒーを飲んでいました。次第にコーヒーを飲むことで「ああ、また仕事か」とマイナスな気持ちになるようになってしまって。そんなとき、何の気なしに飲んだお茶がすっと心にしみわたり、リラックスできたのです。
この体験をより多くの人に伝えたいと思ったとき、ふと「そもそも喫茶店ってどうしてお茶じゃなくてコーヒーがメインなんだろう」という疑問を持ちました。日本茶を扱う喫茶店について調べてみると日本中に存在しているものの、1000円を越すような、価格設定が高く特別な日に訪れるイメージが強いお店ばかりでした。そこで「CHAKAS」の「デイリーユースできるお茶屋さん」というコンセプトを決めました。
こだわりは毎日飲みたいと思える茶葉の種類と淹れ方
染谷 「CHAKAS」のこだわりは、福岡県産のブランド茶「八女茶」を使用していることと、一杯ずつ丁寧に急須で淹れることです。
探していたお茶は、普段本格的な日本茶を飲まないような人が「おいしい」「毎日でも飲みたい」と思えるもの。八女茶は僕が様々な種類、産地の日本茶を飲んだうえで、コンセプトにぴったり合うと感じた茶葉。「こんなにおいしいお茶ははじめてだ」と素直に感じられました。そんな茶葉の魅力を最大限引き出して、おいしいお茶を淹れるには、急須を使うのが一番。お出しするまではトータル2分ほど時間がかかりますが、お客さまにベストな状態で提供したいのです。
「CHAKAS」では日本茶だけではなく、常に10種類以上のおにぎりも取り揃えています。おにぎりは、型を使わず毎日手作りで握っています。お母さんが握ってくれた優しさを感じられる「遠足のおにぎり」がコンセプトです。もちろん、お茶とおにぎりの相性はバツグン。梅や鮭といった定番の具材だけでなく、いろいろな具材を試しては日本茶に合う新商品の開発も行っています。最近では、お茶とおにぎりに唐揚げと卵焼きを加えたセットの販売も始めました。
リアルタイムに売上を確認して廃棄ロスを極力減らす
染谷 やはり飲食店経営において避けたいのは、その日の分の商品が大量に売れ残ってしまうこと。とくに「CHAKAS」のような成長中の店にとっては、毎日の廃棄ロスは大きな打撃となり得るのです。
「CHAKAS」ではささいな工夫ですが、Airレジを活用して、今どの商品が売れているのかリアルタイムでチェックし、PDCAサイクル(※)をまわしています。
(※)PDCAサイクル……業務の効率化、改善のための手法です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとって「PCDAサイクル」と名付けられました。
Planでは、これからすることを考えます。5W1H(誰がやるか、何をやるか、なぜやるか、いつやるか、どこでやるか、どのようにやるか)をベースに考えるとよいでしょう。
Doでは、Planで計画したことを実行します。あとで振り返りをおこなえるよう、実行した結果を記録しておきましょう。
Checkでは、Doした結果を振り返ります。それが狙いどおりであったか、そうでなかったかをはっきりさせる段階です。
Actionでは、改善案を考えます。Planで考えていた「なぜやるか」で考えた目的を達成するために、どのような改善ができるかを考えることです。改善案がまとまったら、ふたたびPlanに移り、改善に向けてサイクルをまわしていきます。
「CHAKAS」でのPDCAは次のとおり。Plan(計画)では、当日の売上の動きや前週同曜日の売上実績を比較。翌日の水出し茶とおにぎりを仕込む量の作成計画を立てます。
Do(実行)では、営業時間のお茶とおにぎりの売上データの収集。そしてCheck(評価)では、スマホで毎時間Airレジのデータをチェックします。移動中や打ち合わせの合間など、場所や時間を問わずチェックしながらリアルタイムに分析をおこないます。
Action(改善)では、現場のスタッフたちに水出しのお茶やおにぎりの追加作成、具材の仕込みを指示します。だいたい1〜2時間後には、店舗に追加分のおにぎりが置かれている状態です。
また、売れ行きのいい商品は早めに追加発注をかけたり、午前中のデータから午後の仕込みの量を調整したりしています。
それに、1日ごとの売上データを、天気や気温、曜日や時間帯といった要素と合わせて分析すれば、相関関係が見えてきます。だからあらかじめ、売上を最大限伸ばしながら、廃棄ロスを極力抑える工夫ができるのです。短期間でPDCAサイクルをまわせることが、「CHAKAS」の成長にひと役買っていると思います。
現在は僕がスマホでデータをチェックして、スタッフに逐一指示を出しています。打ち合わせの合間のちょっとした時間を活用できるので、業務効率の面でもとても有用です。
ただいずれは、スタッフたちが自分たちの判断で動くようにしていきたいと思っています。Airレジは、情報をiPadやiPhoneなどのデバイス上で共有することができるので、従業員の自走のために役立つのではないでしょうか。
小さいお店・少額決済でもクレジットカード利用可にすることでお客さまが来訪しやすくなった
染谷 クレジットカードの支払いは、ポイントが貯まったり現金を持ち歩く必要がないなど、利便性は高いもの。「CHAKAS」をオープンする際、クレジットカードを導入すべきかどうか、頭を悩ませました。
クレジットカードには決済手数料としておよそ3%〜6%の決済手数料がかかります。「CHAKAS」のおにぎりは130円、お茶は290円、抹茶ラテでも430円ほどと、薄利多売。毎回の決済手数料は見過ごせませんし、レジのオペレーションコスト・教育コストもかかります。
この問題を解決するため、「CHAKAS」はAirレジと併せてAirペイを導入しました。Airペイでは決済手数料が3.24または3.74%と比較的安価。IT企業が集積する渋谷という土地柄か、キャッシュレスで支払をするお客さまも比較的多くいらっしゃいます。クレジットカード決済を利用する方は現在、すべてのお客さまのうち平均して5%ほどですが、多い日には25%ものお客さまがAirペイを利用していた日もあります。
「CHAKAS」のようなテイクアウトメインのお店では、まだまだ電子マネー決済できるところは少なく、お客さまからは「電子マネー使えるんだ!」と喜ばれます。
iPhoneがApplePayで電子マネーに対応したことを受け、Airペイでの支払い割合は増加傾向にあります。
お茶を飲んでほっとする体験を多くの人に広めたい
染谷 これはオープン前から懸念していたことですが、日本人にはカフェなどでお茶を買うという習慣がありません。カフェのコーヒーには気軽に300円払っても、お茶は150円程度のペットボトルで十分だと思っている人が多い。お冷の代わりに無料で出してくれる飲食店もありますしね。でも、一度「CHAKAS」のお茶を飲んでもらえれば「お茶ってこんなにおいしかったんだ」と思ってもらえるはず。そのために、どんな価値を提供できるかがこれからの勝負だと思っています。
そこで新たに始めたのが、食事とお茶のセット販売。これは、おにぎりだけを買っていくお客さまも一定数いるというデータから、考え出したものです。
また2018年3月には、大宮のショッピングモール内に新店のオープンを控えています。大宮は商業施設内ということもあり、渋谷とは違い老若男女様々なお客様のご利用が想定されます。より多様なニーズに柔軟にお応えして、みなさまに愛されるお店創りを目指していきます。
今後も、日本はもちろん海外にも店舗を広げていって、お茶を飲んでほっとする、スイッチをオフにする時間を多くの人に体感してもらいたいと思っています。
CHAKAS
渋谷駅より徒歩8分。オフィス街の一角に店舗を構える日本茶専門店。お茶以外にもおにぎりやおかず類を取り揃える。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
高根 千聖(たかね ちさと)編集者
株式会社ZINEの編集者。編集プロダクションで週刊誌の編集・ライター業務に従事。その後、制作会社にて紙媒体やWEBサイトのディレクション、編集・ライター業務に携わる。得意ジャンルはビジネスやグルメ、芸能など。