酒屋さん(酒販店)を開業するには?酒類の販売に必要な資格や注意点、開業手順を解説
酒屋さん(酒販店)を開業するにあたっては、一般的な小売業とは異なる手続きや準備が必要です。地域に根ざした小さな酒屋さん、こだわりの商品をそろえた個人店、ECを中心としたスモールビジネスなど、開業形態はさまざまですが、いずれの場合も酒類販売免許の取得や物件の要件、仕入れ体制の構築など、押さえておきたいポイントは多岐にわたります。
本記事では、酒販店の開業に必要な資格や免許、資金の目安から、物件選び、オンライン販売の注意点、さらには成功のための差別化戦略まで、起業に必要な情報を専門家の視点で丁寧に解説します。
この記事の目次
酒屋さん(酒販店)を開業するには?基礎知識と市場動向
お酒を専門に扱う酒販店は、ただの小売店ではなく、仕入れや品揃えのセンス次第で独自のファンを生み出せる魅力的なビジネスです。
しかし、酒類販売は免許の取得が必要であり、さらに審査にも一定の期間を要するため、ほかの小売業と比べて開業へのハードルが高めといえます。酒類販売免許をはじめとする行政手続きが必要であり、仕入れルートの確保や店舗コンセプトの明確化など、計画的な準備が求められます。
まずは酒販店開業にあたっての基礎知識と、現在の市場動向について解説します。
酒屋さんを開業(酒類を販売)するには免許が必要
酒類を販売するには、「酒類販売業免許」が必要です。これは、例えビール1本であっても、アルコール分1度(1%)以上の飲料を継続的に販売する場合、個人・法人を問わず必須の資格です。無許可での販売は酒税法違反となり、重い罰則が科されます。
店舗を構えて一般消費者に酒類を販売する場合には「一般酒類小売業免許」が必要です。一方で、ネットショップなど通信販売を行う際には「通信販売酒類小売業免許」が別途必要となります。
酒類販売免許の申請は、店舗所在地を管轄する税務署へ行います。審査基準には、申請者の経歴・事業計画・店舗の構造・仕入れ先との契約内容など、非常に多岐にわたる情報が求められます。
なお、申請にあたって不明点がある場合は、税務署内の酒類指導官が相談窓口となり、必要な書類や要件について事前にアドバイスを受けることができます。
個人でも開業可能?事前に知っておきたい酒類業界の現状と将来性
酒販店の開業は個人でも可能です。近年はクラフトビールやナチュラルワインなど、専門性のある品揃えを強みにした小規模酒販店が注目を集めています。
一方で、コンビニやスーパー、ドラッグストアなど、手軽かつ安価にお酒を購入できる場所が増えたことに加え、若者を中心としたアルコール離れも指摘されており、国内の酒類販売市場全体としては縮小傾向にあるのが現状です。
酒販店は大きく「店頭販売型」と「オンライン販売型」に分かれ、前者は地域密着や体験型販売が魅力、後者は広域販売と低コストが強みです。両者を併用するハイブリッド型も増加傾向にあり、こうした市場の変化の中でも、明確なコンセプトと戦略次第では独自のポジションを築くことができ、個人でも十分勝負できるといえるでしょう。
開業準備期間の目安
酒販店を開業するには、通常7〜10カ月程度の準備期間が必要です。酒類販売免許の取得については、申請から許可まで原則2カ月以内とされていますが、書類の不備や追加確認が入ると、それ以上かかる場合もあります。そのため、物件契約や資金調達のスケジュールと並行して計画的に進めましょう。
開業準備のおもな内容と期間の目安は下記のとおりです。
- 開業コンセプト・事業計画の策定(1カ月)
- 資金調達・仕入れ先の確保(2〜3カ月)
- 物件選定・税務署との事前相談(1カ月)
- 酒類販売免許の申請・審査(2〜3カ月)
- 内装工事・設備導入・人材採用(1〜2カ月)
- 広告・集客準備・プレオープン(1カ月)
これらを見越して、余裕を持って1年前から逆算して計画を立てることが理想です。
特に、物件契約のタイミングと免許申請は密接に関係する重要なポイントです。酒類販売免許は「販売場ごと」の許可となるため、申請には店舗の所在地や平面図、設備など、具体的な物件情報が必要です。
一方で、物件契約だけ先行し、あとから免許が下りないと大きな損失につながりかねません。物件の候補が見つかった段階で税務署に事前相談を行い、問題がないことを確認したうえで契約と申請を進めるようにしましょう。
酒屋さんの開業資金はいくら必要?
酒販店の開業には、店舗の形態や規模によって大きく費用が変動します。ここでは「初期費用」「運転資金」「資金調達」の3つの視点から、開業に必要な資金の目安と準備方法を整理します。事業計画書を作成する前の「現実的な見積もり」として、ぜひ参考にしてください。
初期費用の目安
開業に必要な初期費用は、小規模な個人店舗の場合、250万円〜900万円程度が目安です。
おもな内訳としては、物件取得費(保証金・礼金)、内装工事費、冷蔵什器や棚の購入費、酒類の初回仕入れ費用、そして免許申請時に必要な書類や手数料などが挙げられます。
| 費用項目 | 内容の例 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 物件取得費用 | 敷金・礼金・仲介手数料(6〜12カ月分程度) ※立地や賃料により変動 |
約50万円〜200万円 |
| 内装・外装工事費 | 壁・床・天井仕上げ、照明・レジカウンター、看板など | 約50万円〜200万円 |
| 冷蔵什器・棚・備品購入費 | 冷蔵ショーケース、ワインセラー、陳列棚、POPスタンド、角打ち用カウンターなど | 約50万円〜150万円 |
| POSレジ・キャッシュレス機器 | タブレットPOS(レジ)、カードリーダー、バーコードスキャナなど | 約10万円〜30万円 |
|
初回仕入れ費用 |
開店時の在庫分 ※ジャンル数や販売方針により変動 |
約50万円〜150万円 |
| 免許取得・登記等の手数料 | 酒類販売業免許、図面作成など | 約3万円〜10万円 |
| 広告宣伝費(開店前) | チラシ、SNS広告、Googleマップ登録、看板作成など | 約10万円〜30万円 |
| その他予備費 | 細かい雑費や調整用の予備費 | 約10万円〜30万円 |
※本表は、著者の開業支援経験をもとに算出した目安です。実際の開業資金は、立地や業態、規模、設備内容などによって異なります。
特に金額が大きくなるのが物件や設備に関する費用
初期費用の中でも金額が大きくなりやすいのが物件取得費用です。立地や広さによって賃料や敷金・礼金は大きく変動します。コストを抑えるためには、小規模な物件や居抜き物件を選択するのもひとつの手段です。
冷蔵設備や空調は、取り扱う酒の種類によって品質維持の要となるため、必要に応じてしっかり予算化しましょう。また、オンライン販売を主とする場合は、物件費用を抑えられる一方で、撮影機材やECサイト構築費などが必要となる場合もあります。
レジは選び方次第でコストが抑えられる
なお、レジまわりの設備についても、選び方次第でコストを抑えることが可能です。『Airレジ』のような無料のPOSレジアプリを活用すれば、高額な専用レジを購入する必要がなく、タブレットや決済端末など、最低限の機器で運用できます。

運転資金の目安
運転資金とは、開業後に売上が安定するまでの間に必要となる資金です。家賃・仕入れ・光熱費・人件費・広告費などがおもな対象で、目安としては最低でも3〜6カ月分、100万円〜350万円程度を用意しておくのが安全です。
| 費用項目 | 内容の例 | 月額目安 | 3〜6カ月合計 |
|---|---|---|---|
| 家賃 | 店舗賃料+共益費 ※立地や賃料により変動 |
約10万円〜20万円 | 約30万円〜120万円 |
| 仕入れ費 | 回転に応じた定期仕入れ分 | 約10万円〜20万円 | 約30万円〜120万円 |
| 光熱費 | 電気・水道・冷蔵設備・空調など | 約2万円〜4万円 | 約6万円〜24万円 |
| 人件費 | アルバイト1名・短時間勤務を想定 | 約5万円〜10万円 | 約15万円〜60万円 |
| 広告・販促費 | SNS広告、チラシ印刷、ショップカードなど | 約3万円〜5万円 | 約9万円〜30万円 |
| 通信・雑費等 | ネット回線、消耗品、備品補充など | 約1万円〜2万円 | 約3万円〜12万円 |
※本表は、著者の開業支援経験をもとに算出した目安です。実際の開業資金は、立地や業態、規模、設備内容などによって異なります。
酒販店は在庫型ビジネスであり、売上の回転が遅れるリスクもあるため、余裕をもった資金計画が必要です。また、集客が軌道に乗るまでに時間がかかるケースも多いため、初月から黒字化を前提にせず、広告や販促の予算も含めた持久力を見込んだ設計が求められます。
資金調達の方法
自己資金だけで全額をまかなうのが難しい場合は、公的な制度を活用しましょう。代表的なのは「日本政策金融公庫」による創業融資です。無担保・無保証人で数百万円程度借りられる「新規開業・スタートアップ支援資金」は、店舗開業に特化した事業者にとって強い味方です。
また、自治体によっては商店街支援や創業支援の補助金・助成金制度を設けている場合もあります。加えて、法人設立後であれば、地方銀行や信用金庫の創業支援融資も選択肢に入ります。事業計画書や資金使途の明確さが審査のポイントとなるため、計画段階から専門家に相談するのも有効です。
酒類販売免許の種類と取得の流れ
酒類を販売するには、商品の種類や販売方法に応じた「酒類販売業免許」が必要です。販売形態ごとに免許が異なるため、事業計画の初期段階で適切な免許の種類を確認することが重要です。ここでは、代表的な免許の種類と取得の流れ、必要書類や注意点について解説します。
酒屋開業に必須!「一般酒類小売業免許」
店舗で一般消費者にお酒を販売するには「一般酒類小売業免許」が必要です。これは、対面販売(店頭販売)を行う際に必須となる免許で、販売対象となるのは個人・法人を問わず「最終消費者」です。なお、免許取得後は店舗ごとに「酒類販売管理者」を選任し、国税庁が指定する販売管理研修を受講することが義務付けられています。
申請は店舗所在地を管轄する税務署に対して行い、審査では人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件の4つの項目で確認されます。
- 人的要件
申請者が欠格事由(酒税法違反歴や禁固以上の刑など)に該当しないことが求められます。あわせて、酒類販売管理者を選任し、適切に販売管理が行える体制を整えておく必要があります。 - 場所的要件
販売場が継続的な酒類販売を行える独立したスペースとして成立していること、用途地域などが営業に適していることが条件です。住居兼店舗の場合でも区分されていれば申請は可能ですが、審査は慎重に行われます。 - 経営基礎要件
事業を継続して運営できる経済的基盤があるか(原則として債務超過でないこと)が審査されます。 - 需給調整要件
現在は一般の酒類小売業免許では原則撤廃されています。特殊な販売形態の免許では例外的に適用される場合がありますが、通常の酒屋の開業では該当しません。
申請から許可までは通常2〜3カ月かかるため、早めに準備しましょう。
オンライン販売をするなら「通信販売酒類小売業免許」
ECサイトやネットショップで酒類を販売する場合は「通信販売酒類小売業免許(通称:通販免許)」が必要です。この免許では、都道府県を越えて全国の消費者に向けて販売できるのが特徴です。実店舗を持たなくても運営できるため、小規模事業者や個人によるEC型の酒類販売の選択肢としても注目されています。
なお、通信販売酒類小売業免許では、扱える酒類に制限がある点に注意が必要です。国産酒については、年間の課税移出数量が3,000キロリットル未満の小規模製造者が造った酒類に限られており、大手酒造メーカーの商品は取り扱えません。一方、輸入酒についてはこのような制限はなく、自由に取り扱うことが可能です。
通信販売酒類小売業免許の申請時には、年齢確認システムの導入計画やラベル表示内容の明示、酒類に関する広告ポリシーの提出など、オンライン販売ならではの要件が求められます。また、販売対象を特定の条件を満たした酒類のみを販売できるなどの条件もあるため、自社の販売戦略に合わせた選定が重要です。
特殊なケース(輸出・製造者直販など)の免許
通常の小売業とは異なり、特殊な販売形態に対応した免許も存在します。例えば、海外に酒類を販売する場合は「輸出入酒類卸売業免許」、酒類製造業者が自ら販売する場合は「酒類製造者小売業免許」が必要です。また、料飲店などへの卸売りを行う場合には「酒類卸売業免許」が必要になります。
これらは一般的な小売免許とは要件や申請プロセスが異なり、申請にあたっては製造拠点や販売ルート、保管体制などより高度な説明資料が求められます。業態に応じた免許の正確な選定は、事業の継続性にも直結する重要事項です。
申請時に必要な書類・要件・手数料まとめ
酒類販売免許の申請には、事業計画書、賃貸借契約書(または不動産登記簿)、仕入れ先との契約予定書類、店舗の見取り図、身分証明書、納税証明書など、多数の書類が必要です。申請書類の不備や誤記があると再提出となり、審査が長引く恐れがあるため、税務署の窓口で事前相談を行うことが推奨されます。
申請手数料は免許の種類によって異なりますが、一般的な酒類小売業免許であれば登録免許税は3万円です。提出後は2〜3カ月の審査期間を経て、問題がなければ免許証が交付されます。
無許可販売は違法!罰則とリスクを理解しよう
酒類を免許なしで販売することは、酒税法違反にあたり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される重大な違法行為です。
なお営利目的でなくても、個人がSNSやフリマアプリなどで継続的に酒類を販売した場合も「無許可販売」に該当する恐れがあります。
また、違法販売が発覚すると、今後の免許取得が困難になるだけでなく、信用の失墜や取引先からの契約解除といった事業上の大きなリスクも生じます。開業にあたっては、必ず正しい免許の取得と法令遵守の意識を持つことが不可欠です。
開業の流れとスケジュール
酒販店の開業は、思いつきで始められる事業ではありません。免許取得・資金調達・物件契約・設備導入・集客準備など、さまざまな工程を計画的に進める必要があります。ここでは、開業までの標準的なステップとスケジュール感を解説します。
STEP1.開業の意思決定と事業計画書の作成
開業するには、まず「何を売りたいのか」「誰に届けたいのか」を明確にし、方向性を定めることが第一歩です。例えば、角打ち(店内での立ち飲み)併設型にするのか、EC中心の通信販売型でスタートするのかによって、必要な免許・設備・立地選定は大きく変わります。
これらを踏まえたうえで、開業資金や収益計画、販促方針を盛り込んだ事業計画書を作成しましょう。計画書は融資や補助金の申請、免許取得時の信用資料としても重要です。収支計算だけでなく、競合との差別化やコンセプト設計も盛り込むと、開業後のブレない運営につながります。
STEP2.事業の生命線「仕入れ」ルートの確保
仕入れ先には大きく分けて下記の4タイプがあります。
1.酒類卸業者(問屋)
もっとも一般的な仕入れルートです。全国に支店網を持つ大手卸から、地域密着の中小問屋までさまざまで、ビール・焼酎・ワイン・リキュールなど幅広く扱っています。新規開業時は信用にもとづいて後払いで精算する「掛け取引」が難しい場合もあるため、まずは現金取引でのスタートが現実的です。
2.輸入商社
ワインやウイスキー、クラフトビールなど、輸入酒に特化した商社からの直接仕入れるルートです。自店のコンセプトに合う独自性の高い商品を選びたい場合に有効です。中には小ロットから対応可能な業者もあり、個人開業でも交渉の余地があります。
3.酒蔵・ワイナリーとの直取引
地方の酒蔵・地ビールメーカー・ワイナリーなどと直接契約し、限定流通商品を扱うスタイルもあります。商品にストーリー性や地域性があるため、お客さまに語れる武器になります。流通量が限られる分、他店との差別化にも有効です。
4.オンライン酒販プラットフォーム(業務用)
最近では、酒類業者専用のオンライン仕入れサービスも登場しています。発注・納品・請求が一元管理でき、在庫や価格比較もしやすいため、業務効率化に貢献します。
仕入れ先の選び方と交渉のコツ
仕入れ先を選ぶ際は、「商品の質」「供給の安定性」「価格条件」「最低発注数量」などを比較検討しましょう。特に開業当初は、仕入れの量が少なくても柔軟に対応してくれる業者を選ぶのがポイントです。商談では、自店のビジョンや客層、販売戦略を丁寧に説明し、「この店なら大事に売ってくれそう」と思ってもらえることが重要です。
また、仕入れ契約に際しては「見積書」や「注文書」を用意し、酒類販売免許の申請時に提出できるよう準備しておきましょう。免許取得には、仕入れ先が決まっていることが前提条件となるため、交渉は早めに動き出すことが望ましいです。
ただし、実際の仕入れは酒類販売業免許が交付されたあととなることが一般的です。開業準備段階では、見積りやカタログ確認までとなる場合が多いため、免許取得のスケジュールと仕入れ開始時期をあわせて計画することが大切です。
取扱商品の方向性も同時に検討を
仕入れは「安く仕入れる」だけでなく、「何を仕入れてどう売るか」も含めた総合設計です。クラフトビール中心なのか、ナチュラルワイン専門店なのか、日本酒と角打ちの融合型か。商品の方向性により、適した仕入れ先は大きく変わります。あらかじめ商品の価格帯・原価率・売価・販売計画を設計し、仕入れ戦略と整合性を取ることで、利益率の高い運営が実現しやすくなります。
STEP3.資格取得と資金調達
事業計画が固まり、仕入れ先も見えてきたら、次は「酒類販売免許」の申請準備と、必要資金の調達です。免許は店舗所在地の税務署へ申請しますが、物件が確定していなければ申請できないため、物件契約と並行して進めることが求められます。
資金面では、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資の活用が有効です。審査にあたっては、自己資金比率や事業計画の妥当性、本人の経験や熱意が重視されるため、丁寧な準備が必要です。免許と融資、どちらも審査に2〜3カ月かかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
STEP4.物件選定と税務署への事前相談
店舗を構える場合、物件選定は早期に行いましょう。ただし、物件が免許要件に適合していないと許可が下りないため、契約前に税務署に「事前相談」を行うのが鉄則です。相談では、用途地域や建物構造、設備の配置、看板の表示方法などが確認されます。
特に、住宅地などの一部エリアでは販売が制限される場合もあるため注意が必要です。また、同一建物内で他業種と併設する場合や、飲食を併用する場合も、レイアウトの工夫や仕切りの設置が求められることがあります。物件を見つけたらすぐに契約せず、まずは管轄税務署に相談してから進めましょう。
STEP5.物件本契約と許可申請
税務署での事前相談が完了し、適正が確認できたら、正式に物件契約を結びましょう。そのあと、必要書類を揃えて酒類販売免許の申請を行います。申請には、物件図面、仕入れ先との契約資料、事業計画、財務情報、身分証明書類など多岐にわたる書類が必要です。提出後は通常2〜3カ月の審査期間を経て、問題がなければ免許が交付されます。この期間中に、店舗の内装や設備手配、オープン準備を並行して進めておくと効率的です。
STEP6.店舗の内装工事、決済設備の準備
免許の審査中に進めておきたいのが内装工事と設備導入です。冷蔵棚や什器のレイアウト、レジカウンターの設置、防犯対策など、売場の導線や視認性に配慮した設計が求められます。店舗の規模や取り扱う酒類によって冷蔵設備の性能も変わるため、商品特性を考慮した機材選定が重要です。
また、現代の消費者ニーズに応えるためにも、キャッシュレス決済端末の導入は必須といえるでしょう。『Airレジ』などのクラウド型POSレジを活用すれば、会計だけでなく在庫管理や売上分析もスムーズになり、運営効率が大きく向上します。
STEP7.集客・開業
免許を取得し、店舗の準備が整ったら、いよいよ開業です。しかし、開業はゴールではなくスタート。事前の集客準備が売上の立ち上がりを左右します。地域住民へのチラシ配布、SNSによる認知拡大、Google ビジネスプロフィール(Googleマップ)などへの情報登録、開業記念キャンペーンの企画など、できることは多岐にわたります。
また、既存の飲食店とのコラボレーションや試飲会の開催なども効果的です。初動でしっかり認知を取ることで、リピーター獲得につながり、安定経営の礎になります。開業後も定期的な販促やお客さまとのコミュニケーションを大切にしましょう。
【コラム】開業スケジュールを立てるコツと注意点
酒販店の開業準備は多岐にわたり、特に「酒類販売免許」の取得に時間がかかるため、思いつきで動くと必ずどこかで足踏みすることになります。そこで大切なのが、逆算でスケジュールを組む「バックキャスティング」の視点です。例えば来年4月に開業したい場合、免許取得に3カ月、物件選定・税務署相談に1カ月、事業計画や資金調達に1〜2カ月……と考えると、少なくとも半年前には動き出す必要があります。
もうひとつのコツは「並行作業」を意識すること。資金調達と物件探し、免許申請と内装工事など、できる工程を同時進行で進めることで、準備期間を短縮しつつ効率的に進められます。また、途中での想定外(物件のNG、融資否決など)に備えて、常に代替案を準備しておくことも重要です。
開業までのスケジュールをガントチャートやタスク管理ツールで見える化し、日々の進捗を管理することで、焦らず確実に一歩ずつ準備を進めていきましょう。
オンラインでお酒を販売する場合の注意点
近年では、酒販店の開業スタイルも多様化し、実店舗を持たずにECサイトなどを活用して酒類を販売するケースも増えています。ただし、オンライン販売には独自の免許やルールが存在し、特に法律面の注意が必要です。ここでは、EC販売に必要な手続きや注意点、さらにハイブリッド型経営の可能性についても解説します。
ECサイト開設の手順と必要な免許
酒類をオンラインで販売するには、「通信販売酒類小売業免許(通販免許)」の取得が必要です。これは実店舗での販売に必要な「一般酒類小売業免許」とは別物で、例え自宅兼事務所でも“対面販売なし”で全国の消費者に届ける形態であれば、通販専用の免許が求められます。最大の違いは、年齢確認体制の整備やラベル表示内容への対応、販売ルール(例えば「贈答用のみに限る」など)に関する追加要件がある点です。
手続きとしては、事業計画書や販売対象品目、ECサイトの構成(トップページ、商品ページ、年齢確認画面など)の説明資料を整えたうえで、税務署へ申請します。許可後は、ECサイトの構築(ShopifyやBASEなどのプラットフォームを利用する方法もあります)、決済・配送体制の整備、商品写真や説明文の作成、在庫管理システムの準備などを段階的に進めていきます。リアル店舗に比べ初期投資は抑えられますが、法令順守とITスキルが問われる業態です。
オンライン販売で注意すべき法律・年齢確認・広告表示
オンラインで酒類を販売する場合、20歳未満への販売防止措置が必須です。サイト上で「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」の明記と、購入前に年齢確認のプロセス(生年月日の入力、チェックボックスなど)を設ける必要があります。
また、酒類に関する広告は「酒類の表示・広告に関する自主基準」などにもとづき、「過度な効能表現」や「未成年を想起させる表現」、「飲酒を過度にあおる表現」などが規制されています。景品表示法や酒税法に反しないよう慎重に表現を選ぶ必要があります。
さらに、都道府県によっては酒類広告の自主規制が設けられている場合もあるため、販売地域ごとのルールも確認しておきましょう。
【コラム】ネットと店舗を組み合わせたハイブリッド経営
実店舗+オンラインの“ハイブリッド型”は、今後の酒販店の経営における有望なモデルです。例えば、角打ちスペースでファンを獲得しつつ、その場で気に入ったお酒をECでリピート購入してもらうなど、販売チャネルをシームレスにつなげることでLTV(顧客生涯価値)の最大化が期待できます。
地方の酒販店が観光客向けに実店舗で販売し、帰宅後にECで再購入してもらう動線づくりも効果的です。POSレジと連携できる在庫管理システムを使えば、オンラインとオフラインの在庫を一元管理でき、業務効率化にもつながります。店舗・通販どちらか一方ではなく、両者を補完しあう設計が、これからの酒販店運営の強みとなるでしょう。
酒屋さん(酒販店)開業を成功させるためのポイント
酒販店は免許を取得すればすぐに軌道に乗る業態ではありません。成功する店舗には共通する「設計の工夫」と「運営の工夫」があります。ここでは、開業後に継続的な支持を得るための3つのポイントを解説します。
明確なコンセプトで競合との差別化を図る
スーパーやコンビニでも数多くの酒類を扱う今、価格や品数で勝負しても勝ち目は限られます。だからこそ、「あえてこの店に行く理由」を設計することが重要です。
例えば、ナチュラルワイン専門店、日本酒と角打ちの融合型、クラフトビールに強い地域密着店など、専門性や物語性を持たせたコンセプトが差別化のポイントになります。仕入れ方針、内装、接客スタイルまで一貫性を持たせることで、ブランディングにもつながります。SNSや口コミでも話題になりやすく、ファン層の定着が期待できます。
限定酒や得意ジャンル特化など商品ラインナップの工夫
仕入れの段階で「ほかでは手に入らない魅力的な商品」を揃えることは、酒販店としての価値を高める要素です。地元の酒蔵や小規模ワイナリーと直接契約して限定酒を仕入れる、クラフトビールのセレクトに独自の視点を持つ、海外のナチュールワインを一点ずつ輸入するなど、ラインナップに個性を持たせましょう。
また、ギフト対応や季節限定セットなど、商品構成の“提案力”も差別化になります。商品そのものが店の看板になるよう設計することで、競合と一線を画す店づくりが可能になります。
キャッシュレス決済などオペレーションの効率化
どれだけ商品力や接客に力を入れても、業務が非効率だと持続的な経営は難しくなります。とくに少人数運営や家族経営が多い個人酒販店では、バックヤード業務の効率化が利益を左右します。
そのため、操作がカンタンで導入しやすい『Airレジ』などのPOSレジの活用がおすすめです。POSレジを導入すれば、在庫管理・売上分析・顧客管理がスムーズに行えるだけでなく、決済サービスの『Airペイ』と連携させることでキャッシュレス決済対応もカンタンに実現できます。スマホやタブレットで操作できる機器を活用することで、レジ業務や棚卸の時間を大幅に削減でき、結果として「接客・販促」に集中できる環境が整います。
よくある質問(FAQ)
酒屋開業に関するよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。
お酒を販売するには、必ず免許は必要ですか?
はい、必要です。アルコール度数1度(1%)以上の飲料を継続的に販売するには、販売方法(店頭・通信販売)に応じた「酒類販売業免許」の取得が法律で義務付けられています。例え少量であっても、無許可販売は酒税法違反となり、罰則の対象になります。
自宅で開業しても問題ありませんか?
物理的には可能ですが、税務署の審査で「店舗としての適格性」が問われます。例えば、専用スペースの有無、来客対応の動線、酒類の保管環境などが確認されます。事前に管轄の税務署で相談するのが確実です。
酒類販売免許の取得にはどのくらい時間がかかりますか?
一般的に、申請から許可まで約2〜3カ月かかります。ただし、事前相談や必要書類の準備に1カ月以上かかるケースもあるため、全体では3〜4カ月を見込むのが安全です。物件契約や仕入れ先の確保と並行して準備しましょう。
クラフトビールや自然派ワインだけの販売でも申請できますか?
はい、販売商品を限定しての申請も可能です。むしろ、コンセプトが明確な業態は事業計画上も有利に働くことがあります。ただし、取り扱う酒類の種類(例:果実酒・発泡酒など)は免許申請書に明記する必要があります。
店舗とネットショップを両方やりたい場合、免許は別々に必要ですか?
はい、それぞれ別の免許が必要です。店頭販売には「一般酒類小売業免許」、通信販売には「通信販売酒類小売業免許」が必要で、どちらも申請書や審査内容が異なります。ハイブリッド運営を予定している場合は、開業前から両方の準備を並行して進めましょう。
店舗の開業準備をラクにする「開業支援セット」のススメ
酒販店をはじめ店舗の開業準備はやるべきことが多く、特に初めての開業で準備に不安を抱えている人は多いでしょう。そんな人には、Air ビジネスツールズの「開業支援セット」がおすすめです。
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まとめ
- 開業には「酒類販売業免許」が必須
- 店頭販売とオンラインでは必要な免許が異なる
- 開業資金は初期費用+運転資金で500万円〜1000万円が目安
- 仕入れルートの確保と商品選定が成否を分ける
- 開業準備には最低でも6カ月〜の計画が必要
酒販店の開業は、情熱だけで乗り切れるほどカンタンではありませんが、しっかりと計画を立て、免許や資金、仕入れ先を着実に整えることで、個人でも十分に実現可能なビジネスです。実店舗でもECでも「誰に・何を・どう届けるか」が明確であれば、リピーターを生む魅力ある店づくりが可能です。
まずは、取り扱いたい酒類や店舗のコンセプトを整理し、必要な免許や資金計画の準備から着実に進めていきましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
久田 健(ひさだ けん)経営コンサルタント
事業再生、起業、M&Aなど経営に携わるコンサルタント経験多数。専門はオンラインストア(EC)・小売店・飲食店・ホテルなどのデジタルトランスフォーメーション、Webメディア立ち上げ・運営、デジタルマーケティング、新規ビジネスの立ち上げ、サプライチェーンマネジメント、店舗運営支援など。「小売業の川上から川下までトータルサポート」がモットー。