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開業とは?起業との違いや開業の流れ・手続き・資金を解説

店舗開業をイメージした写真。エプロンをつけた女性が、「OPEN」と書かれた看板が掛かった店舗入口前で、コーヒーカップを片手にガッツポーズをしている

「自分のお店を持ちたい」「独立して働きたい」そんな夢の第一歩となるのが「開業」です。しかし実際には、手続きや事務処理・資金・設備・許認可など、やるべきことは多岐にわたります。
本記事では、「開業とは何か?」という基本から、7つの開業パターン、開業までの流れ、必要な資金やツール、そして失敗を防ぐポイントまで、店舗開業を目指す方に役立つ情報を専門家の視点から丁寧に解説します。
読み終えたときには、「開業の流れが具体的にイメージできた」と感じていただけるはずです。

この記事の目次

開業とは?基礎を解説

「開業」とは、新たに自分で事業を始めることを指しますが、その形態や手続きにはさまざまな種類があります。ここではまず「開業」という言葉の定義や、類語との違いを整理し、開業準備の全体像を把握しましょう。

開業の定義

開業とは、飲食店・美容室・小売店などの実店舗をはじめ、ネットショップやフリーランス活動などを新たに始めることです。税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を出すことで、個人事業主として税務上、事業を開始したと認められます。ただし、法人設立の場合は法務局での「設立登記」が必要です。

つまり開業とは、「事業開始の意思を公的に示し、実際のビジネスをスタートする一連の行動」を指します。

開業に必要なタスク

開業を成功させるには、おおまかに下記の準備が必要です。

  • 事業コンセプトと事業計画の立案
  • 資金調達(自己資金、融資、助成金など)
  • 店舗物件の選定・内装・設備準備
  • 許認可の取得(飲食業、美容業など)
  • 開業届などの行政手続き
  • 集客準備(SNS・広告・予約サイト登録)
  • レジ・会計・人材体制の整備

詳細は開業の流れを紹介する章で解説しますが、これらを順を追って対応することが、スムーズな開業への第一歩となります。

「開業(個人事業)」と「起業・会社設立(法人)」の違い

「開業」は、おもに個人事業主としてのスタートを指すのに対し、「起業」は法人を設立して会社を立ち上げる意味合いが強い言葉です。

個人事業主は開業届を税務署に出すだけで始められ、比較的スモールスタート向きです。一方、会社設立は登記や定款の作成など手続きが多く、費用や手間もかかります。目的や事業規模に応じて、どちらを選ぶかが分かれ道となります。

「開業」と「独立」「創業」との言葉の違い

「独立」は、会社員や従業員として働いていた人が、組織を離れて自分で事業を始めることを指します。「創業」は、個人・法人を問わず、新しく事業を立ち上げることを意味します。

一方「開業」は、店舗運営などの物理的な始動も含む実務的な表現です。例えば、美容師が独立して自身のサロンを持つなら「独立開業」、法人化して始めるなら「創業」もしくは「会社設立」と表現されます。

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開業するには?7つの開業パターンを解説

開業の方法はひとつではありません。自分のアイデアで始める以外にも、既存の仕組みやブランドを活用する方法もあります。ここでは、代表的な7つの開業パターンを解説します。

1.【独自創業】個人事業主として小さく始める

自分のアイデアで勝負するなら、個人事業主と法人設立の2つの方法があります。

まず個人事業主としての開業は、初期費用が少なく、手続きもシンプルであることが特徴です。税務署に開業届を提出するだけで、個人事業として事業を始められます。屋号付きの銀行口座も開設可能です。飲食店やサロンなど、まずは小さなスペースからスタートしたい人に最適な方法です。リスクを最小限に抑えつつ、経験を積みながら軌道に乗せていけるのが最大のメリットです。

2.【独自創業】最初から法人を設立して始める

「最初から法人格で信頼を得たい」「複数人で運営する」という場合は、法人設立が選択肢となります。個人事業主と法人では、手続きの負担や運営面の違いがあります。下記の比較表をご覧ください。

個人事業主と法人のおもな違い
項目 個人事業主 法人
設立の手間 少ない(開業届のみ) 多い(登記・定款)
信用力 やや低め 高い
節税メリット 限定的 条件次第で大きい
社会保険加入 原則任意 強制加入
廃業・撤退のしやすさ 容易 やや複雑

最初はコストや手続きが重くのしかかる法人より、個人事業主としてスモールスタートし、必要に応じて法人成りするのが現実的な戦略だといえるでしょう。

3.【FC】フランチャイズに加盟する

フランチャイズ(FC)は、すでに成功しているブランドの看板やノウハウを借りて開業する方法です。飲食や学習塾、買取業など、幅広いジャンルに選択肢があります。

開業初期から一定の集客力が期待でき、マニュアル・研修・仕入れの仕組みが整っているため、初心者でも安心して始められるのが魅力です。

一方、加盟時に支払う加盟料や、毎月のロイヤリティなどの費用が発生するため、資金計画は慎重に作成する必要があります。

4.【代理店】代理販売店契約を結ぶ

メーカーや大手サービス事業者と代理店契約を結び、商品やサービスを販売する方法での開業です。代表例として、不動産・通信・保険などが挙げられます。

初期投資を抑えやすく、在庫リスクも少ないのが特徴です。ブランドの信頼を活かせる反面、価格や販促に制約が出る場合もあるため、契約内容をしっかり確認することが大切です。

5.【独立】勤務先からのれん分けしてもらう

勤務先や師匠のもとで修業を積んだあと、そのブランドや一部ノウハウを使わせてもらう「のれん分け型」の独立もあります。美容室、和菓子店、寿司店、ラーメン店、建設業など、職人文化の強い業種に多く見られます。

既存の取引先や顧客を引き継げる場合もあり、ゼロからの集客に比べて有利な点がありますが、一定の条件や信頼関係が前提となります。

6.【承継】親族・知人から事業承継する

すでに事業を営んでいる親族や知人から店舗や事業を引き継ぐ「事業承継型」の開業です。事業が黒字であれば、すぐに収益化できるという利点があります。地域に根ざした事業や常連客が多いビジネスで特に効果的です。

ただし、店舗の老朽化や既存従業員との関係性、帳簿の透明性など、事前に調査・確認が必須です。

7.【買収】M&Aで既存ビジネスを買う

個人でも近年増えているのが「スモールM&A」です。売上数百万円~数千万円規模の店舗を買収し、自分で引き継ぐ方法です。会員制M&Aサイトやマッチングサービスを活用することで、法人だけでなく個人でも検討可能です。

立地や設備が整っていれば、ゼロから開業するより、時間や初期コストを抑えて始められることもあります。ただし、財務・契約面のリスクを見極める力が求められます。

開業するメリット・デメリット

開業は自分の裁量で働ける魅力がある一方、リスクや負担も伴います。ここでは、開業のおもなメリットとデメリットを整理し、判断材料として活用できるように紹介します。

開業のメリット

開業には、働き方の自由度や収入の上限拡大など、会社員では得られない多くのメリットがあります。

意思決定の自由度が高い

開業すると、どんな商品を売るか、どんなサービスを提供するか、営業時間や働き方など、すべてを自分で決められるようになります。上司の承認や社内会議に左右されることなく、スピード感を持った意思決定が可能になるのが大きな魅力です。時代やトレンドに合わせて柔軟に対応できる体制を、自分の裁量でつくることができます。

収入の上限を広げられる

会社員の給与は毎月ほぼ固定ですが、開業すれば努力と工夫次第で収入は青天井です。繁忙期やヒット商品が出たときには一気に売上が伸びる可能性もあり、「収入の限界を自分で決めない働き方」が実現できます。逆にいえば成果主義でもあるため、安定収入とのバランス感覚も求められます。

働き方を柔軟に調整できる

誰と働くか、どこで働くか、どの時間帯に働くかなど、自分で選べるのが開業の醍醐味です。例えば、子育てや介護と両立したい人は、営業時間を調整したり、スタッフに任せて週数日の勤務にしたりと、ライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。ストレスの少ない自分らしい時間設計ができます。

実績を積めばビジネス上の信用度が高まる

開業して事業実績を積めば、金融機関や取引先からの信用度も高まります。例えば、開業届や確定申告書類を持っていれば、事業用ローンやリース契約、法人口座開設などがスムーズに進む場合があります。また、法人化すれば社会的な信頼性がさらに高まり、BtoB取引や助成金申請にも有利に働くことがあります。

開業のデメリット

一方で開業には、資金リスクや収入不安定などのデメリットもあり、事前の備えが重要です。

初期費用・運転資金などの資金負担が大きい

開業時には、物件取得費、内装工事、設備購入、広告宣伝、仕入れ、人件費など、さまざまな費用が発生します。また初期費用だけでなく、数カ月分の運転資金も必要です。特に店舗ビジネスは、まとまった自己資金や融資準備が不可欠です。開業前にどこまで資金を確保できるか、事業計画の段階で明確にしておく必要があります。

収入が不安定になるリスクがある

会社員と異なり、売上がなければ収入もゼロになります。天候や景気、競合の出現など、外部要因によって売上が左右されることもあります。月ごとの収支変動が大きくなるため、固定費を低く抑える工夫や、閑散期に備えた資金繰りが欠かせません。あわせて、経理管理を早い段階から仕組み化しておくことも大切です。

失敗した場合の損失が大きい

開業して軌道に乗るまでは時間がかかるのが一般的です。立地選定のミスや顧客ニーズとのズレがあった場合、初期投資を回収できないリスクもあります。また、契約関係や従業員トラブル、行政指導など予期せぬ事態も起こりえます。こうしたリスクを抑えるためにも、小さく始めてテスト運営を行うなど、段階的なアプローチが重要です。

経営者としての責任が生じる

開業すれば、経営者としてすべての最終責任を負うことになります。スタッフを雇用する場合は、労務管理や社会保険対応も必要になりますし、顧客対応やトラブル処理も自ら判断しなければなりません。
「好きなことを仕事にする」だけでなく、数字を見て判断する冷静さも求められます。

開業者の属性

実際に開業した人たちは、どんな動機で、どのような業種を選び、どれくらいの時間働いているのでしょうか。日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」データをもとに、開業者のリアルな傾向を紹介します。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(PDF:246KB)

開業の動機

最も多い開業理由は、「自由に仕事がしたかった」(約59.7%)という夢の実現型です。次いで「収入を増やしたかった」「仕事の経験や知識を活かしたい」といった動機が続きます。

つまり、多くの人が「働き方の自由」と「自分らしいキャリア」を求めて開業に踏み切っており、金銭的動機だけでなく、価値観や人生設計の変化が背景にあることがうかがえます。

開業業種(どんな業種が多いのか)

調査によると、開業業種で最も多いのは「サービス業」で全体の約30%を占めます。次いで「医療・福祉」「飲食店・宿泊業」が上位に入ります。

また、開業時の年齢は40歳代の36.9%が最も多く、平均年齢も43.9歳と近年は上昇傾向にあります。

多くの開業者は、これまでに培った実務経験や専門性を活かして独立しており、十分なキャリアを背景に開業に踏み切っていることが特徴です。

開業者の労働時間

事業開始後の1週間あたりの労働時間は、「50時間以上」が約50%、「35~50時間未満」が約30%です。開業当初は業務範囲が広く、休みが取りにくいという声も少なくありません。

一方で、時間をかけて仕組みを整え、軌道に乗れば時短経営も可能になります。「自由に働く=楽をする」ではない現実を理解しておくことが重要です。

開業までの流れ・ステップ

開業を成功させるには、順序立てた準備が欠かせません。ここでは、飲食店の開業を例に挙げ、事業計画から資金調達、設備の準備、手続き、集客と、開業までの4つのステップをわかりやすく解説します。

【STEP1】事業計画と資金の準備

最初に取り組むべきは「誰に、何を、どう売るか」を明確にする事業計画の作成です。コンセプト、ターゲット層、価格帯、売上予測などを整理し、それにもとづいて必要な初期費用と運転資金を試算します。事業計画書の書き方や開業資金の目安については、下記の関連記事で詳しく解説しています。

資金調達には自己資金のほか、日本政策金融公庫の融資や補助金制度などもあります。早い段階から相談窓口にアクセスしておくと、必要な書類や条件の確認ができ、手続きをスムーズに進められます。なお、資金調達の具体的な方法については、のちほど詳しく解説します。

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【STEP2】環境を整える(場所・モノ)

開業に向けて必要な「場所」と「モノ」を整えるステップです。まずは物件探しから始め、立地や通行量、競合調査などを行いながら候補を絞り込みます。飲食店の場合は物件選びと並行して、内装工事、厨房設備、什器の手配が必要です。

あわせて、インターネット環境、POSレジ、キャッシュレス決済端末、Wi-Fiなどのインフラ設備もこの段階で準備しておきましょう。契約や納品までに時間がかかるものもあるので、逆算して進めることが大切です。

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【STEP3】必須の手続きと届出

事業形態や業種に応じて、必要な行政手続きや届出を行うステップです。個人事業主の場合は「開業届」や「青色申告承認申請書」、店舗を構えて営業する業種では、これらに加えて「飲食店営業許可」や「防火管理者届出」などの許認可も必要です。

申請先や申請時期は業種によって異なるため、事前に保健所や税務署、都道府県の公式サイトなどで確認しておきましょう。

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【STEP4】運営体制の構築

事業をスムーズにスタートさせるには、開業後の運営を見据えた体制づくりが欠かせません。飲食店であれば、メニューの開発、仕入先との契約、従業員の採用・研修、予約システムの導入などが該当します。

あわせて、レジと会計ソフトを連携させるなど、日々の業務を効率化するための準備も行います。さらに、SNSアカウントの開設、ロゴや看板の制作など、ブランディング面の準備もこの段階で進めておきましょう。オープン前にはプレオープン(試験営業)を実施し、オペレーションや集客のチェックを行うのがおすすめです。

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開業に必要な資金と資金調達方法

開業には、物件取得費や設備投資などさまざまな資金が必要です。ここでは、業種別の開業資金の目安や、資金調達の方法として代表的な融資制度、補助金・助成金について解説します。

開業資金の目安(業種別)

日本政策金融公庫の調査によれば、開業費用の平均値は約975万円、中央値が約600万円です。業種別の一般的な開業資金の目安は下記のとおりです。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(PDF:246KB)

業種別の開業資金の目安
業種 開業資金の目安
飲食店 600万円~1,000万円
美容室 400万円~800万円
小売店 300万円~700万円
サービス業 200万円~600万円
ネットショップ 50万円~300万円
※本表は、著者の開業支援経験をもとに算出した一般的な目安です。実際の開業資金は、立地や業態、規模、設備内容などによって異なります。

飲食業は内装・厨房設備にコストがかかる傾向があり、それらを一から整える場合は開業資金が1,000万円を超えるケースも少なくありません。一方、ネットショップは比較的低コストで始められます。自己資金だけでなく、融資や補助金を前提にした資金計画が必要です。

融資制度の活用(日本政策金融公庫など)

開業資金のおもな調達手段は融資です。なかでも、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、原則無担保・無保証で最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)まで借り入れが可能な代表的な制度です。(2026年1月時点)
事業開始前や直後でも申し込める点が特徴で、創業計画書や自己資金の有無、業界経験年数などが審査対象になります。

また自治体や商工会議所でも、利子補給や信用保証付きの融資を紹介してくれることがあります。複数の制度を比較検討し、事業に合った資金調達方法を選ぶことが成功のポイントです。

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

補助金・助成金・給付金の活用

返済不要の支援制度として、国や自治体が実施する補助金・助成金の活用も重要です。代表的なものは下記のとおりです。(2026年1月時点)

  • 小規模事業者持続化補助金(創業型:最大200万円)
  • デジタル化・AI導入補助金(業務効率化やDXに向けたシステム導入などに活用可)
  • 各自治体の創業支援補助金(地域ごとに異なる)

これらは申請時期・目的・条件が厳密に定められているため、早期に制度を確認し、税理士や商工会議所などの専門家に相談するのがベストです。

出典:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金について」デジタル化・AI導入補助金2026

【コラム】初期費用を抑えるなら無料で使える『Airレジ』などの活用も◎

タブレット型POSレジのイメージ開業資金の目安は数百万円以上にのぼりますが、工夫次第で抑えられる項目もあります。その代表例が「レジ周辺の設備費用」です。
従来の据え置き型POSレジは導入に数十万円かかることも珍しくありませんが、iPadやiPhoneで使えるタブレット型POSレジなら、低コストで利用できます。例えばPOSレジアプリの『Airレジ』は端末(iPad)を持っていれば、導入費用も月額費用も0円で利用できます。
浮いた資金は内装費や広告宣伝費などに回すことが可能です。また、売上データが会計ソフトと連携されるため、日々の経理事務を効率化できるメリットもあります。
「まずはスモールスタートでリスクを抑えたい」という方は、こうした無料のITツールを組み合わせて、賢い資金運用を目指しましょう。

開業に必要な手続きと書類、出し方を解説

開業にあたっては、複数の書類を期限内に提出する必要があります。ここでは、個人事業主を中心に、開業時に必要な代表的な手続きとその出し方を、提出先・期限・書式リンクなども含めて解説します。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

個人事業を始める場合、必須の届出です。

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:開業日からおおむね1カ月以内
  • 提出方法:窓口・郵送・e-Tax(電子申告)いずれも可
  • 書類ダウンロード:国税庁公式サイト

国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」(PDF:704KB)

開業届を提出することで、税務上の「事業者」として認められ、屋号付き口座の開設や青色申告が可能になります。副業でも提出は可能です。

なお、開業にあたっては、インボイス制度への対応もあわせて検討しておきましょう。免税事業者として始めるか、インボイス発行事業者(課税事業者)として登録するかは、取引先の要件や事業内容を考慮して決定することが大切です。 

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青色申告承認申請書

青色申告による節税メリットを得るために、必要な手続きです。

  • 提出先:所轄の税務署
  • 提出期限:青色申告する年の3月15日まで、または開業日から2カ月以内(開業届と同時提出が一般的)
  • 提出方法:窓口・郵送・e-Tax(電子申告)いずれも可
  • 書類ダウンロード:国税庁公式サイト

国税庁「所得税の青色申告承認申請書」(PDF:515KB)

これを提出することで青色申告が可能になり、要件を満たせば最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。また、家族への給与を必要経費にできるなど、税務上のメリットがあります。

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事業開始等申告書(都道府県税事務所)

地方税に関する届出です。提出を忘れがちなので注意しましょう。

  • 提出先:事業所所在地を管轄する都道府県税事務所
  • 提出期限:開業から15日〜1カ月以内(自治体により異なる)
  • 提出方法:窓口・郵送(自治体により電子申請もあり)
  • 書類ダウンロード:各都道府県の税務サイトにて提供

※東京都の場合:東京都主税局「事業開始等申告書(個人事業税)」(115KB)

この申告書を提出することで、個人事業税の課税対象として登録されます。提出漏れがあると、あとから申告を求められたり、追徴課税が発生したりする可能性があるため、忘れずに対応しておきましょう。

業種ごとに必要な許認可申請

飲食業や美容業など、特定の業種では所定の許認可が必要です。下記に業種別の例をまとめます。

業種別・許認可一覧

業種に応じて複数の許認可が必要になるため、必ず事前に所管機関で確認を行いましょう。

業種ごとに必要な許認可の例
業種 必要な許認可 管轄
飲食店 飲食店営業許可、防火管理者選任届出 保健所・消防署
小売店 古物商許可(中古を扱う場合) 警察署
美容室 美容所開設届、美容師免許 保健所・消防署
薬局 薬局開設許可、薬剤師免許 保健所・都道府県

飲食店

飲食店を開業するには、保健所の「飲食店営業許可」を取得する必要があります。あわせて、食品衛生責任者を配置し、施設基準(シンクの数、換気設備など)を満たす必要があります。なお、調理師資格を持っていれば、食品衛生責任者を兼ねることも可能です。また、店舗の規模や業態によっては、消防署への「防火管理者選任届出」が必要となる場合があります。

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小売店

小売業では、基本的には開業届のみで事業が可能ですが、中古品やブランド品を扱う場合は「古物商許可」が必要です。所轄警察署での申請となり、審査期間は標準で40日程度かかります。

許可を取得したあとは、店頭に許可証を掲示する義務もあります。なお、販売する品目によっては酒類販売免許や医薬品販売許可も別途必要です。

出典:警視庁 生活安全部関係「古物商の許可」(PDF形式:180KB)

美容室

美容室を開業するには、「美容所開設届」を保健所に提出し、施設基準を満たす必要があります。なお、常時2人以上の美容師が勤務する場合は、管理美容師資格を持ったスタッフが1人以上常駐することが求められます。内装工事の設計段階から保健所の基準を確認し、要件を満たすよう計画しておきましょう。

薬局

薬局の開設には、都道府県への「薬局開設許可申請」が必要です。あわせて、薬剤師の常駐、調剤室・医薬品保管庫の設備など、細かい基準を満たす必要があります。厚生局への保険薬局指定申請なども関わるため、開業までには余裕を持って計画する必要があります。

社会保険・労働保険の手続き(従業員を雇う場合)

従業員を雇用する場合、下記の手続きが必須です。

  • 雇用保険:ハローワークへ届出(雇用日から10日以内)
  • 労災保険:労働基準監督署へ届出
  • 健康保険・厚生年金:年金事務所へ届出(法人は強制加入)

なお、個人事業主であっても、一定の条件を満たす従業員を雇用した場合は、雇用保険や労災保険への加入が必要になります。一方、法人であれば社長1人でも社会保険への加入が必要です。社会保険の加入はコストにも影響するため、人数や勤務形態によっては社労士など専門家への相談が効果的です。

開業準備で整えておくべき環境・ツール

開業後にスムーズな運営を行うためには、事務用品や設備、ITツールなど、必要な環境を事前に整えておくことが重要です。ここでは、開業準備に役立つ具体的なアイテムやサービスを紹介します。

事務や手続きで必要な用品(印鑑、PC、タブレット、各種証明書)

開業準備に最低限必要なものとして、下記が挙げられます。

  • 印鑑(個人印・屋号印/法人は代表印・銀行印)
  • PC・タブレット(情報収集・書類作成・会計・発注・集客用)
  • 各種証明書(住民票、法人は登記事項証明書など)

行政手続きや口座開設、契約時に「印鑑登録証明書」や「本人確認書類」が求められる場面も多く、事前にまとめて準備しておくと手続きがスムーズです。

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事業用銀行口座・カード

事業とプライベートのお金を明確に分けるために、事業用の銀行口座とクレジットカードを用意しておきましょう。個人事業主でも屋号付き口座を開設できる銀行も多く、入出金管理・税務処理の効率化につながります。
また、クレジットカードは仕入れや広告費の支払い、会計ソフトとの連携にも便利です。法人化を見据えて、開業初期から分けて運用するのが理想的です。

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レジ・決済・会計システム

店舗ビジネスでは、レジやキャッシュレス決済、会計管理までを一体で考える必要があります。代表的なツールとして、下記のようなものがあります。

  • タブレット型レジ(『Airレジ』など)
  • キャッシュレス端末(『Airペイ』など)
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)

これらを連携させれば、売上記録〜会計処理〜確定申告までがスムーズになります。導入コストを抑えたい場合は、無料プランや導入サポートがあるサービスを選ぶのもおすすめです。

集客用ホームページ・SNSアカウント・名刺

開業前から集客を始めるために、下記のツールを用意しておきましょう。

  • ホームページ(無料のテンプレートでも可)
  • SNSアカウント(Instagram、LINE、Xなど)
  • 名刺(QRコード付きが便利)

SNSは広告費ゼロでも集客効果があり、特に地域密着型のビジネスでは開業前からフォロワー獲得を進めておくとオープン時の反応を集めやすくなります。名刺も取引先や営業活動に必要不可欠です。

人材・予約管理(シフト・予約システム)

スタッフを雇う予定があるなら、シフト管理や予約受付の仕組みも早期に整えておく必要があります。おすすめのツールは下記のとおりです。

  • シフト作成アプリ(『Airシフト』、LINEシフトなど)
  • 予約管理システム(『Airリザーブ』、レストランボード、RESERVAなど)

これらを導入することで、オープン後の混乱を防ぎ、顧客満足度の向上にもつながります。特に美容・医療・飲食などは予約が売上に直結するため、初期導入を検討しましょう。

【コラム】個別に契約するのは大変。まとめて相談できるサービスも

開業準備では「レジはこの会社、会計ソフトは別の会社、予約管理はまた別」と、バラバラに契約して手間やコストが増えることも少なくありません。
そんなとき便利なのが、必要なツールや設備を“まとめて相談・導入できる”開業支援サービスです。例えば『Airレジ』を中心とした「開業支援セット」なら、POSレジ、決済、予約管理、会計、集客までワンストップでサポートします。
時間と手間を大幅に削減でき、無料で使えるツールも多いため、初期費用を抑えたい方にも最適です。開業支援セットについては、記事末尾でも詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

初心者におすすめの開業業種・アイデア

開業といっても、最初から大きな資金や店舗を構える必要はありません。ここでは、初心者でも比較的リスクを抑えてスタートしやすい業種や、スキルや副業経験を活かせるアイデアをご紹介します。

低資金・在庫なしで始められる業種

初期投資を抑えたい方には、在庫リスクが少なく、大きな設備投資が不要な業種がおすすめです。例えば、下記のような業種があります。

  • ネットショップ(無在庫・ドロップシッピング型)
  • オンライン講師(語学・資格・趣味教室)
  • ライター・デザイナー・動画編集などのフリーランス業

自宅やコワーキングスペースから始められるため、家賃などの固定費を抑えやすいのが特徴です。在庫を持たず、クラウド型サービスやSNSを活用することで、個人でもスモールスタートが可能です。

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資格やスキルを活かせる業種

「今ある強みを活かして開業したい」という人には、保有資格や実務経験をベースにした業種が適しています。具体例としては下記のとおりです。

  • 美容師資格を活かした出張美容・サロン経営
  • 保育士資格を活かした家庭内保育(認可外保育)
  • キャリアコンサルタントや社労士による相談・支援サービス

スキルや専門性があるほど価格競争に巻き込まれにくく、リピートや口コミによる集客も期待できます。ただし、業種によっては資格登録や自治体への届出、施設・運営基準の確認が必要となるため、事前に要件を確認しておきましょう。

副業から始めやすい業種

会社員のまま副業として開業し、軌道に乗ったら本業化するスタイルも増えています。おすすめ業種は下記のとおりです。

  • ネット物販(ハンドメイド販売や仕入れ転売)
  • ブログ・アフィリエイト・動画配信
  • LINE公式アカウントやSNSを使った情報発信×集客

副業ならスモールスタートが基本です。まずは休日や夜の時間を活用し、初期費用を抑えて実験的に始めることが可能です。開業届を出しておくと、事業としての経費計上がしやすくなる点もメリットです。

開業で失敗しないためのポイントと注意点

自身のビジネスを持つことは夢の実現でもありますが、準備不足や見込み違いで、計画どおりに進まないケースも少なくありません。ここでは、リスクを抑えて開業を成功に近づけるための実践的なポイントを4つ紹介します。

ゆとりある資金計画を立てる

開業時には、当初に想定していたよりも費用が膨らむことがよくあります。店舗の内装費や広告費、備品などは追加費用が発生しやすいため、「見積もり額+20〜30%程度」の余裕を見込んでおくと安心です。

さらに、開業後すぐに黒字化するとは限らないため、少なくとも3〜6カ月間の運転資金を手元に確保しておくことが重要です。融資や補助金だけに頼らず、「万が一売上が立たなくても事業を続けられる余裕」を持つことが失敗を防ぐポイントです。

小さく始める(スモールスタート)

初期投資を抑え、リスクを最小限に抑えるためには、スモールスタートが基本です。例えば、いきなり路面店を構えるのではなく、シェアキッチンやレンタルスペースを活用して始める方法もあります。

さらに、0円で使えるツール(『Airレジ』などのPOSレジ、SNSによる集客、クラウド会計ソフトなど)を活用することで、固定費を抑えて効率的な運営が可能です。初期費用を抑えることで、事業のPDCAを早く回すことができます。

集客・マーケティングを軽視しない

「いい商品をつくれば売れる」という考えは危険です。開業初期に最も重要なのは「知ってもらうこと」です。SNSの活用、Googleビジネスプロフィールへの登録、口コミ施策、予約サイトの活用など、事前からの集客設計が欠かせません。

広告費をかけられない場合は、無料でできるPR施策を複数組み合わせる工夫が必要です。「開業日を周囲に知ってもらう」ための情報発信は、事業成功の第一歩です。

税金・保険の知識をつけておく

開業すると、所得税、住民税、消費税、事業税など複数の税金が発生します。加えて、青色申告や控除制度、必要経費の考え方など、最低限の税務知識は不可欠です。

また、国民健康保険や国民年金、労災保険(従業員を雇用する場合)なども自己管理が必要です。支払いのタイミングや金額を把握しておかないと、資金繰りに影響することもあります。税理士に相談するのも一つの方法ですが、日常的な記帳や管理にはクラウド会計ソフトを活用することで負担を減らすことができます。

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開業に関するよくある質問(Q&A)

開業を検討する中で、多くの方が共通して抱える疑問があります。ここでは、開業届や副業、失業保険、開業日の選び方など、特に質問の多い4つのトピックにお答えします。

Q.開業届を出さないとどうなりますか?(罰則は?)

A.所得税法上、事業を開始した場合には開業届の提出が求められています。ただし、提出しなかったこと自体に罰則はありません。

開業届を出さない場合は青色申告ができず、最大65万円の控除が受けられません。また、屋号付き口座の開設や各種補助金申請、信用面でも不利になる可能性があります。

さらに、申告内容や事業の状況によっては税務署から事業実態を問われたり、あとから税金の追徴課税を受けたりする可能性もあります。節税や資金調達の観点からも、開業時に提出しておくのが安全です。

出典:e-Gov法令検索「所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百二十九条」

Q.会社員を続けながら(副業で)開業届を出せますか?

A.はい、可能です。会社員として勤務しながら、副業として個人事業を始める際にも開業届を出すことができます。

開業届を出すことで経費計上ができるようになり、副業収入の確定申告もスムーズになります。ただし、住民税の納付方法を「普通徴収(自分で納付)」にしておかないと、副業の収入が会社に伝わる可能性があります。

また、副業が就業規則で禁止されていないかも事前に必ず確認しましょう。

Q.失業保険をもらいながら開業できますか?

A.基本的に、失業保険(雇用保険の基本手当)は「就職活動中であること」が給付の条件です。そのため、開業届を出して事業を始めると、失業状態ではないとみなされ、支給が停止される場合があります。

ただし、事業の準備段階にとどまっており、引き続き就職活動を行っていると認められた場合には、継続して受給できることもあります。状況に応じて個別に判断されるため、開業準備を始める前に、ハローワークで必ず相談するようにしましょう。

Q.開業日はいつにするのがベストですか?(縁起など)

A.開業日は「事業を実際に開始した日」であり、任意で決めることができます。事務処理や届出のしやすさなどから、月初(1日)を選ぶ人も多いですが、特別な決まりはありません。

また、六曜で「大安」や「天赦日」「一粒万倍日」などの縁起がよい日を選ぶ人もいます。販促やSNS告知と組み合わせて「印象に残る開業日」を設定するのも有効です。ただし、日付にこだわりすぎて開業準備が不十分になるのは本末転倒なので、実務優先で考えることも大切です。

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まとめ

  1. 開業とは新たに自分で事業を始めることで、個人・法人・フランチャイズなど多様な形態がある
  2. 準備不足を防ぐには、資金計画・手続き・集客を順序立てて進めることが重要
  3. 無料ツールや支援制度を活用することで、開業初期の負担を軽減できる
  4. スモールスタートや副業型開業も現実的な選択肢となる
  5. 開業支援サービスを活用すれば、準備の手間を大幅に削減できる

開業は自由で柔軟な働き方を手に入れるチャンスですが、同時に「事業としての視点」も求められます。本記事を通して、開業に必要なステップや制度、成功のための考え方が整理できたのではないでしょうか。自分に合った開業スタイルを選び、無理なく一歩を踏み出しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

久田様写真

久田 健(ひさだ けん)経営コンサルタント

事業再生、起業、M&Aなど経営に携わるコンサルタント経験多数。専門はオンラインストア(EC)・小売店・飲食店・ホテルなどのデジタルトランスフォーメーション、Webメディア立ち上げ・運営、デジタルマーケティング、新規ビジネスの立ち上げ、サプライチェーンマネジメント、店舗運営支援など。「小売業の川上から川下までトータルサポート」がモットー。

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