焼肉店を開業するには?初期費用から成功のポイントまで解説
焼肉店の開業は初期費用や設備投資が大きい一方、客単価が高く利益を確保しやすい魅力的な飲食業態です。本記事では、焼肉店開業に必要な資金、資格、手続きから、経営のポイントや成功の秘訣までをわかりやすく解説します。さらに、フランチャイズ加盟と個人開業の違いや、「開業支援セット」の活用方法についても触れながら、開業準備をスムーズに進めるためのポイントを解説します。
この記事の目次
焼肉店の開業に必要な資金と準備期間
焼肉店開業には、規模に応じた物件取得費・内装工事費・厨房設備費などの初期費用に加え、おおむね3~6カ月の運転資金が必要です。準備期間は3カ月~1年程度が目安となりますが、焼肉店の開業はほかの飲食店よりお金がかかるケースが多いため、しっかりと資金や事業計画の準備をしておくことが重要です。
開業資金(初期費用)の目安と内訳
例えば、30~40坪の店舗(席数50席程度を想定)の場合、物件取得費、内装工事費、厨房機器購入費、備品費、広告宣伝費などを合計して、1,400万円~3,600万円が目安です。
坪数(席数)を減らしたり、居抜き物件を利用したりすれば、初期投資をもう少し抑えることも可能です。また、融資を受ける場合は、着金まで時間がかかる場合があるため、ある程度余裕を持って計画しておくと安心です。
| 費用の項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 物件取得費 | 300万円~750万円 |
| 内装工事費 | 700万円~2,000万円 |
| 厨房機器購入費 | 300万円~500万円 |
| 備品費 | 100万円~300万円 |
| 広告宣伝費 | 0~50万円 |
| 合計 | 1,400万円~3,600万円 |
※本表は、著者の開業支援経験をもとに算出した目安です。実際の開業資金は、立地や業態、規模、設備内容などによって異なります。
焼肉店は排煙ダクトやロースター設備などの仕様によって、内装・設備費が大きく変動します。条件によっては、上記の目安より初期費用が高くなる場合もあります。

煙をロースター内部にある集塵機で吸着させて臭いを軽減させるノンダクト無煙ロースターは一台で数十万円が目安
運転資金の目安と内訳
開業後3~6カ月分の人件費、仕入れ費、光熱費、広告宣伝費を考慮します。店舗の規模にもよりますが、一般的に毎月のランニングコストとして300万円~800万円程度は必要になります。
開業当初は、必ずしも計画どおりに売上が立つとは限らないため、余裕を持った運転資金の準備が必要です。特に焼肉店では、肉を一定量まとめて仕入れる必要があり、在庫が回らないと廃棄ロスが発生して仕入れコストが増えてしまいます。そのため、売上が安定するまで十分な運転資金を確保しておくことが重要です。
また小規模焼肉店の場合は、軌道に乗るまでが早い場合もあるため、状況を見ながら柔軟に経営判断を行いましょう。
| 費用の項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 家賃 | 30万円~100万円 |
| 人件費 | 100万円~250万円 |
| 仕入れ費 | 150万円~400万円 |
| 光熱費 | 10万円~20万円 |
| 広告宣伝費 | 10万円~30万円 |
| 合計 | 300万円~800万円 |
※本表は、著者の開業支援経験をもとに算出した目安です。実際の運転資金は、立地や業態、規模、設備内容などによって異なります。
開業準備期間の目安
物件選定、内装工事、資格取得、スタッフ採用・教育、仕入れルートの確保などを含め、全体の準備期間は小規模店の場合は3カ月程度、中規模店以上では6カ月~1年程度が目安です。
ただし、狙った条件の物件が出るかどうかは予測しづらいものです。そのため計画が早まったり遅れたりしても対応できるよう、スケジュールには余裕をもたせておくことが大切です。
焼肉店の経営は儲かる?年収の目安
焼肉店は客単価が高く、アルコール提供もあるため利益率10~15%程度を目指せます。原価管理や集客を適切に行えば、10~20坪の小規模個人経営でも年間売上1,500万円~3,000万円が見込め、その場合、小規模個人経営者の役員報酬と労務費を合わせた年収の目安は300万円~450万円となります。同様の店舗を増やしていけば、その2倍(600万円~900万円)、3倍(900万円~1,350万円)の年収を得ることも可能です。
ちなみに、焼肉店のフランチャイズに加盟してノウハウや支援を受けた場合、ロイヤリティは変動制で売上の5~10%程度、固定制で10~30万円程度が店舗ごとに毎月かかります。
また、30~40坪で50席程度の焼肉店の場合は、1店舗でも小規模焼肉店の2倍程度の年収が見込めますが、初期費用も大きくなります。また、立地や価格帯、肉の専門性によって収益は大きく変動するため、開業前に事業計画書で専門家を交えてシミュレーションすることが非常に重要です。
焼肉店の開業に必要な資格・許可・手続き
飲食店営業許可や食品衛生責任者などの資格は、焼肉店を開業するうえで必須です。防火管理者や深夜酒類提供届は、店舗の規模や営業時間などの条件次第で必要になります。また、調理師免許や肉・酒類にまつわる資格、経理やマーケティングの資格などがあると運営面で役立ちますが、これらは必須ではありません。
必要な資格・許可・手続きについて下記で詳しく解説します。
【必須】飲食店営業許可
営業開始前に保健所へ申請し、厨房や客席が衛生基準を満たしているかの確認を受ける必要があります。申請には、店舗の図面や設備の仕様などの書類提出が必要で、保健所による現地調査をクリアすることで許可がおります。現地調査は、通常は施設の完成にあわせて約1週間以内に行われます。基準に適合していれば翌開庁日に許可がおり、許可証は調査日から原則5開庁日以降に受け取ることができます。
初めての焼肉店開業では、工事前の段階で保健所へ相談に行き、図面を確認してもらうのがおすすめです。その際は、いつ、誰に、どんな回答をもらったかを記録しておくと、「言った」「言わない」などのトラブルを回避できます。
【必須】食品衛生責任者
食品を取り扱うすべての飲食店に、1店舗ごとに1人の「食品衛生責任者」の設置が法律で義務付けられています。なお前述の飲食店営業許可の申請時には、この責任者の氏名や資格を記載して提出する必要があります。責任者の基本的な役割は、食品の取り扱いに関する衛生管理の指導、食中毒の予防、設備や器具の衛生チェックなどを実施し、必要に応じて保健所の指導に対応することです。
各都道府県の「食品衛生協会」が実施する講習(約6時間)を受講することで取得できます。なお、調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格を有している場合、講習の受講が免除される場合もあります。食品衛生協会のホームページで講習会の案内などを確認できます。一回の講習に人数制限があるため、事前に予約し、できるだけ早めに取得できるよう準備しましょう。
【必須】個人事業の開廃業等届出
個人事業として焼肉店を開業する場合は、店舗所在地を管轄する税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。提出することで事業者として正式に登録され、税務上の手続きを進められるようになります。
また、同時に「青色申告承認申請書」を提出しておくと、65万円控除や赤字の繰越などの優遇を受けられるため、節税効果が高くなりおすすめです。なお、この手続きは開業後1カ月以内が目安とされています。
【条件次第】防火管理者
消防法に基づき、延べ床面積や席数によって必要になる場合があります。焼肉店のような不特定多数が利用する店舗では、収容人数が30人以上の場合、防火管理者の選任が義務づけられます。基本的な役割は、消防計画の作成や点検、避難訓練の実施、店舗内の火災予防管理などです。地域の消防署または講習機関で実施される「甲種・乙種防火管理者講習」の修了によって取得できます。
焼肉店の場合、お客さま自身が肉を調理することが多いため、火災に対する入念な対策が欠かせません。防火管理者の資格は、食品衛生責任者の資格と同様に各都道府県で開催される講習で取得することができます。「甲種・乙種防火管理者講習」のホームページで講習会の案内などを見ることが出来ます。一回の講習に人数制限があるため、事前予約で早期の取得が安心です。
【条件次第】深夜酒類提供飲食店開始届
深夜0時以降に酒類を提供して営業する場合は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を所轄の警察署へ提出する必要があります。申請には、店舗の平面図や照明設備の図面、賃貸借契約書の写しなど複数の書類が必要なため、計画的に進めておきましょう。
【あると有利】調理師免許
必須ではありませんが、取得すると料理の専門知識や衛生管理力の証明となり、顧客信頼度の向上につながります。
調理師免許とは、各都道府県知事より認定される調理の国家資格です。飲食店を経営するにあたり調理師免許が必須だと勘違いされている方もいるかもしれませんが、調理の仕事や飲食店の経営に調理師免許は必須ではありません。調理師法では、「多数人に対して飲食物を調理して供与する施設」については、「調理師を置くように努めなければならない」と規定されており、努力義務の範囲内です。
なお、各飲食店に必須の食品衛生責任者は、調理師免許を持っていれば講習を免除されるケースがあります。ただし、食品衛生責任者の資格は講習会を受講すれば取得可能なので、必ずしも調理師が必要だというわけではないのです。
出典:厚生労働省「調理師法」
【あると有利】レストランサービス技能士
レストランサービス技能士は、厚生労働省所管の技能検定制度による国家資格です。レストランでの接客サービスや接客マナー、食品などについて、プロにふさわしい知識を持っていることを証明します。
こちらも飲食店営業には必須ではありませんが、持っているとサービス品質の向上に役立ち、信頼感が高まります。1級、2級、3級とあり、それぞれ学科試験と実技試験に合格することで取得できます。
【あると有利】お肉に関する専門資格(食肉技術専門士、お肉ソムリエなど)
「食肉技術専門士」「お肉ソムリエ」など、肉の品質やカット方法の専門知識を持つことで、他店舗との差別化につながります。肉関連の資格は、肉を調理する専門知識と技術を身に付けられる民間資格です。もちろん、肉の調理だけでなく、肉の種類や部位ごとの特徴や保存方法、お肉の加工品がどのようにできているかなど、食肉を扱う際に必要な技能も学べます。
資格ごとに学べる内容が細かく違うため、店舗コンセプトや提供する肉の種類に合わせて選ぶのがおすすめです。時間に余裕があれば挑戦してみてもよいでしょう。
【あると有利】お酒に関する資格
「ビール検定」「ソムリエ」「利き酒師」など、お酒に関する資格を持つと、ペアリング提案や在庫管理に役立ちます。特に、焼肉店はワインとの相性が良いため、資格があると接客の幅が広がり、単価アップにつながる可能性があります。
例えば、ワインエキスパートは、一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A)が認定しているワインに関する専門資格です。ソムリエもJ.S.Aが認定しており、飲食店勤務などワインを扱う職業の経験が必要にはなりますが、よりレベルの高い知識と技術をアピールできます。ワインエキスパートは、一次試験の筆記と、二次試験のテイスティングで合否が決まります。
一方、ソムリエはこれらに加えて、論述試験・サービス実技試験が追加され、より高度な知識と実務スキルが求められます。
【あると有利】経営・会計に関する資格
「日商簿記」「FP」「経営士」などの資格があると、会計や資金管理の知識が深まり、利益率改善や融資対応に役立ちます。焼肉店の経営者になるうえで必須の資格ではありませんが、事業を計画し、会社を安定的に経営していくためにも、マネジメントや会計、マーケティングなどの知識は必要です。特に経営初心者にとって、これらの知識を体系的に学んでおくと実務で大いに役立つでしょう。
焼肉店開業のメリット・デメリット(注意点)
焼肉店の開業には、メリットとデメリットの両方があります。焼肉店の開業を考えている場合、メリット・デメリットを事前にしっかりと把握しておく必要があります。下記で詳しく解説します。
焼肉店を開業するメリット
まずはメリットから確認していきましょう。
| メリット | 概要 |
|---|---|
| 客単価が高く利益確保しやすい | 肉+アルコールの売上構造により客単価が高くなり、利益率が上がりやすい |
| 幅広い客層を取り込める | 家族・カップル・ビジネス利用から単身客まで需要が多い |
| 厨房オペレーションが比較的シンプル | 調理の多くをお客さまが行うため、人件費・教育コストを抑えやすい |
| メニュー・ブランド構築の自由度が高い | 産地・部位・提供スタイルなどで差別化しやすい |
| SNS映えで集客しやすい | 盛り付け・希少部位・体験型提供など話題化しやすい |
焼肉店には、利益構造と運営面の両方で多くのメリットがあります。その中でも焼肉店の最大のメリットは「客単価が高く、売上を伸ばしやすい」点です。肉料理はアルコールとの相性が良いため、ほかの飲食業態に比べると利益率を確保しやすい傾向があります。また、焼肉は幅広い年代に人気があり、家族連れ・カップル・ビジネス利用から単身客まで、利用シーンが多く、安定した集客が期待できます。
さらに、調理の大部分をお客さま自身が行うケースが多いため、厨房オペレーションが比較的シンプルで、スタッフの負担や教育コストが抑えられるというメリットもあります。メニュー開発の自由度も高く、産地や部位にこだわるなど独自のブランドづくりがしやすい点も特徴です。加えて、SNSとの相性も良く、映える盛り付けや希少部位の提供で話題性をつくりやすい点も強みといえます。
昨今では、予約管理・オーダー管理・決済などを効率化できる便利なツールを活用して、少人数でもスムーズに運営できる焼肉店の開業も増えています。

調理の大部分はお客さま自身が行うため、厨房オペレーションが比較的ラクなのは焼肉店ならでは
焼肉店を開業するデメリット(注意点)
続いて焼肉店の開業にあたっては、いくつかの注意点があることも理解しておきましょう。
| デメリット(注意点) | 概要 |
|---|---|
| 仕入れコストが高い | 肉の品質により原価が変動しやすく、安定した仕入れ先の確保が重要 |
| 排煙・厨房設備の初期投資が大きい | ロースターやダクト工事など、専用設備が必須で費用がかかる |
| 衛生・火災リスク管理が必須 | 生肉を扱うため衛生基準が厳しく、火気設備の点検も欠かせない |
| 競合店との差別化が必要 | 焼肉は人気業態のため、綿密なコンセプト設計をし、競合店との差別化を図る必要がある |
焼肉店には魅力が多い一方、上記のような課題や注意点もあります。その中でも、肉の仕入れについてはコストが高く、原価率が不安定になりやすいため、価格設定と原価管理が最重要です。肉の品質がそのまま評価につながるため、安定した仕入れルートの確保が求められます。また、焼肉店では排煙設備・ダクト工事・ロースター設備などが必要となるため、初期投資が高くなる傾向があります。
さらに、生肉を扱うため衛生面の管理がほかの飲食業態より細かいことに加え、火災防止のメンテナンスや点検も重要です。人気業態だからこそ、競合店が多いエリアでは差別化しなければ埋もれてしまう可能性もあり、コンセプト設計やマーケティングの重要性が非常に高い業態といえます。
初めての焼肉店開業の場合は、専門家と相談しながら失敗しない開業を目指しましょう。

生肉を扱うため衛生管理には特に気を付けたい
焼肉店開業・経営の方法
焼肉店の開業には大きく分けて「フランチャイズ加盟」と「個人での独立開業」の2つの方法があります。どちらにもメリット・デメリットがあり、経験や資金力、目指す店舗像によって最適な方法は異なります。
ブランド力や安心のサポートが魅力の「フランチャイズ加盟」
フランチャイズ(FC)加盟は、すでに確立している焼肉ブランドの看板・ノウハウを活用して開業する方法です。未経験者でも開業しやすいのが最大の利点で、メニュー開発、仕入れルート、スタッフ研修、運営マニュアル、広告宣伝など、一から構築する必要がありません。また、ブランド力があるため集客面でも有利で、開業初期から売上を伸ばしやすい傾向があります。
いくつかの焼肉店ブランドでは、ノウハウを学んだ従業員に、「のれん分け」としてフランチャイズ加盟や独立支援のコンサルを提供しています。
一方で、加盟金・ロイヤリティが発生し、自由にメニュー変更や価格改定ができないなどの制約もあります。店舗の独自性を出しづらい点はデメリットといえるかもしれませんが、「失敗確率を下げて堅実に開業したい」という方には適した選択肢です。
自由度が魅力の「個人での独立開業」
個人での開業は、コンセプトづくり、メニュー設計、内装デザイン、仕入れルートなど、すべてを自分で決められる自由度の高さが魅力です。こだわりの肉や提供方法を追求でき、地域に愛される唯一無二な焼肉店をつくることができます。また、ロイヤリティが不要なため、利益構造を自分で最適化しやすい点も利点です。
しかし、立ち上げのすべてを自分で行う必要があり、未経験者にとっては負担が大きくなりがちです。仕入れ先の確保や原価管理、集客戦略など、成功するためには事前準備が欠かせません。専門家や飲食店コンサルタントのサポートを受けることで、失敗リスクを軽減しながら開業を進めることができます。
焼肉店の種類
焼肉店と一口にいっても、価格帯、肉の専門性、提供方法などによって大きく分類されます。どのタイプを選ぶかはコンセプト設計や立地選定と密接に関係し、開業後のターゲット層や売上構造にも大きな影響を与えます。
価格帯
焼肉店の価格帯は一般的に「低価格帯(~3,000円)」「中価格帯(3,000円~6,000円)」「高価格帯(6,000円~)」の3つに分類されます。
- 低価格帯:回転率重視で、家族連れや学生など幅広い客層を取り込みやすい反面、価格競争になりやすく利益確保が課題
- 中価格帯:店舗数がもっとも多く、品質と価格のバランスが求められる
- 高価格帯:ブランド牛・希少部位の提供など専門性が高く、接待・記念日などの特別需要が多い
どの価格帯を選ぶかでロースター設備や内装デザイン、仕入れ先の選定が大きく変わるため、開業前にターゲットを明確に決めることが成功の鍵です。
肉の専門性
焼肉店は扱う肉の種類や専門性によっても分類されます。「国産和牛専門店」「ホルモン専門店」「希少部位専門店」「熟成肉専門店」「ブランド牛専門店」「赤身肉専門店」「牛タン専門店」「ジンギスカン店」「ジビエ料理専門店」「韓国焼肉店」など多種多様です。専門性を持つことで競合との差別化がしやすく、ブランド力向上にもつながります。
一方で、特定の肉に特化する場合は仕入れが難しくなる可能性があります。例えばホルモン専門店では、鮮度管理と信頼できる仕入れ先の確保が最重要です。希少部位店では安定供給が課題になります。専門性を高めるほど価格帯は上がりやすい反面、地域特性とのマッチングを慎重に判断する必要があります。
提供方法
提供方法によってもお店のスタイルは大きく変わります。「セルフ焼肉」「テーブルオーダーバイキング」「コース制」「食べ放題」「一人焼肉」「カウンター焼肉」など多様化が進んでいます。
セルフ焼肉はオペレーションが簡単でスタッフの負担が軽い一方で、煙対策や換気設備が重要です。食べ放題スタイルは若年層に人気ですが、原価管理が難しい側面もあります。高級店ではコース提供や肉のカット実演など、演出が売上アップの鍵になります。
このように提供方法はコンセプト・価格帯・ターゲット層に大きく影響するため、開業前に慎重に検討しましょう。
焼肉店開業までの10ステップとスケジュール
焼肉店開業は段階を踏んで計画的に進めることが重要です。
STEP1.開業の意思を周囲に伝える
STEP2.コンセプトやメニュー骨子作成と仕入れ先の開拓
STEP3.事業計画書の作成と資金調達
STEP4.必要な資格の取得
STEP5.物件選定と専門家による現地調査
STEP6.保健所・消防署への事前相談
STEP7.物件契約と内装・設備工事
STEP8.レジなどの各種インフラ導入と体制構築
STEP9.行政検査と許可取得
STEP10.集客・プレオープン・開業
ここでは、上記の10ステップに分けて、開業準備から集客までのスケジュールを具体的に解説します。
STEP1.開業の意思を周囲に伝える
家族やパートナー、友人など周囲に開業の意思を伝え、精神的・資金的サポートを得ることが第一歩です。特に資金面では、自己資金だけでなく親族や知人からの融資・保証を受ける場合があります。また、周囲に開業計画を共有することでアドバイスやネットワークを活用でき、物件情報や仕入れ先情報など有益な情報も得やすくなります。
飲食店開業では最初の判断ミスが後々の負担につながるため、早い段階で専門家の助言を得られる環境を整えておくと安心です。初めての独立開業では孤独になりがちなので、早い段階から相談できる相手をつくっておくようにしましょう。
STEP2.コンセプトやメニュー骨子作成と仕入れ先の開拓
次に、店舗コンセプトを明確化し、ターゲット層や価格帯、メニュー構成を検討します。肉の専門性や焼き方、提供スタイルを検討し、仮メニューを作成しましょう。並行して仕入れ先の開拓も始めます。国産牛・輸入牛・ホルモン・希少部位など扱う肉の種類に応じて、複数の卸業者と契約交渉を行い、安定供給ルートを確保します。
また、原価率や品質、納品頻度も比較検討し、開業後の利益確保に直結する基盤をつくることが重要です。
焼肉店のおもな仕入れルート
焼肉店の仕入れ先には、おもに下記のようなルートがあります。
- 食肉卸業者(大手・地域密着型)
- 食肉市場を通じた仕入れ
- 生産者や牧場からの直接仕入れ
- 業務用食材店・業務スーパー
- 個人精肉店との取引など
大手卸業者は安定供給に強い一方で、仕入れ価格は高くなりやすいです。また、生産者直取引は高品質な肉を比較的安く仕入れられる可能性がある反面、供給の安定性には注意が必要です。
仕入れ方法
仕入れ方法は、大きく分けて「原木(丸ごと)」と「部位ごとのカット仕入れ」があります。
原木仕入れは原価率を下げやすい反面、解体技術や在庫管理の難易度が上がるのが特徴です。一方、部分カット仕入れは手間が少なくロスも出にくいですが、仕入れ単価は高くなりやすい傾向があります。
仕入れ先の探し方
仕入れ先を探す際は、インターネットで検索するだけでなく、飲食業界の人脈や紹介が非常に有効です。卸業者との商談会、展示会、市場見学などに足を運ぶことで、信頼できる取引先が見つかることも少なくありません。
また、開業前に業務用食材店や卸売市場を実際に視察し、価格・品質・納品頻度を比較しておくことも重要です。複数ルートを確保しておくことで、万が一の供給トラブルが起きた際にも、仕入れが止まる事態を防ぎやすくなります。
STEP3.事業計画書の作成と資金調達
コンセプトが固まったら事業計画書を作成します。事業計画書には、開業資金、運転資金、売上予測、利益計画、集客戦略などを詳細に記載します。これらは融資担当者が事業の実現可能性を判断するうえで重要な資料となるため、根拠のある数値で説明できるように準備しておきましょう。
焼肉店は初期投資が高額になるため、自己資金だけでなく、銀行融資や助成金、親族からの出資も含めた資金調達計画を立てることが重要です。開業後3~6カ月の運転資金も含めて余裕を持った計画を立てることが失敗防止につながります。事業計画書は開業予定の6カ月~1年ほど前から構想を練り、遅くとも開業3カ月前には完成させましょう。
STEP4.必要な資格の取得
飲食店営業許可、食品衛生責任者、防火管理者、深夜酒類提供飲食店開始届など、開業に必要な資格を取得します。調理師免許や肉・酒の専門資格は任意ですが、取得することで経営・集客面で有利になります。資格取得は講習や書類提出に時間がかかる場合があるため、開業スケジュールと並行して早めに準備することが重要です。
STEP5.物件選定と専門家による現地調査
物件は立地、家賃、広さ、排煙設備の状況などを考慮して選定します。おおよそ開業予定日の3~6カ月前に行いますが、優良物件の選定にはタイミングもあるので、良い物件が出たら迅速に判断できるよう準備が必要です。立地は集客に直結するため、ターゲット層の生活圏や通行量、競合店舗の有無も調査しましょう。
必要に応じて建築士や設備業者に現地調査を依頼し、排煙・給排水・電気容量などの工事可否を確認します。これにより、内装工事後に不具合が発覚するリスクを減らすことができます。
また最近では、飲食店の新規出店・開業(焼肉店を含む)を考えている経営者向けに、居抜き物件や店舗用物件を効率よく探せる『Tempodas(テンポダス)』 などのサービスも登場しています。物件探しの負担を軽減できるため、このような専門サービスを活用してみるのも一つの方法です。
STEP6.保健所・消防署への事前相談
着工前に、保健所と消防署へ事前相談に行きましょう。工事開始後に指摘が入ると手戻りが発生するため、設計段階で基準を確認しておくことが重要です。
保健所には厨房や客席の設計図を提出し、衛生基準に合致しているか確認を受けます。また、消防署には防火管理、避難経路、消火設備の配置について相談します。事前相談は開業後の検査での手戻りを防ぐだけでなく、専門家からのアドバイスも得られるため、効率的な開業準備につながります。開業の1~2カ月前には相談に行きましょう。
STEP7.物件契約と内装・設備工事
物件契約後、内装・厨房工事を開始します。焼肉店では特に排煙ダクトやグリルテーブル、給排水工事、ガス配管の設置が重要です。設計はコンセプトに沿ったデザインに加え、動線や客席配置を考慮する必要があります。工事中は進捗管理と予算管理を徹底し、追加工事や資材の遅延でスケジュールが遅れないよう注意します。工期は業者と相談しながらゆとりをもってお願いしましょう。
STEP8.レジなどの各種インフラ導入と体制構築
POSレジ、キャッシュレス決済端末、オーダーシステム、予約管理システムなど、店舗運営に必要なインフラを整備します。スタッフのシフト管理や接客マニュアル、オペレーションフローも同時に作成し、開業前にリハーサルを行うことでオープン後の混乱を防ぎます。特に焼肉店は焼き方や焼き時間の指導が必要なため、教育プログラムを事前に用意しておくと安心です。時期は1~2カ月前からの打ち合わせで十分です。
こうした店舗の開業準備や店舗運営を効率化できる「Air ビジネスツールズ」などを活用すると、手間を大きく減らせて便利です。詳細は記事の後半であらためて紹介します。
STEP9.行政検査と許可取得
保健所と消防署による現地検査を受け、設備や衛生管理、防火対策が基準を満たしていることを確認します。問題がなければ正式に営業許可が下ります。検査の結果、不備があった場合は工事や改善を行う必要があるため、スケジュールに余裕を持つことが重要です。
STEP10.集客・プレオープン・開業
開業前にプレオープンを実施し、オペレーションや接客の確認を行います。地域住民や関係者を招待してフィードバックを得ることで、改善点を事前に把握できます。集客はSNSやチラシ、口コミを活用し、ターゲット層にアピールしましょう。ネット予約可能店舗件数No.1サイト『ホットペッパーグルメ』などの予約サイトを利用するのも一つの手段です。
開業初日はスタッフ全員で準備とシミュレーションを行い、スムーズな営業開始を目指します。
【コラム】開業スケジュールを立てるコツと注意点
開業スケジュールを立てる際は、工事期間、許可取得期間、スタッフ採用・教育期間をそれぞれ逆算して計画します。特に排煙工事や消防検査は外注に依存するため、工期遅延リスクを考慮して余裕を持った日程を設定することが重要です。資金繰りも同時に管理し、運転資金が不足しないよう月ごとに計画を立てましょう。また、プレオープンや広告告知も開業前に実施することで、スムーズな集客につながります。
最後に、専門的な立場からアドバイスをするとすれば、開業を成功させるには、無限大にある手段や方法から、「どのタイミングで・どの手段(ツール)で・どういうやり方で」を経験や知識を活かして判断することが重要です。飲食店専門のコンサルタントに相談したり、有効なツールを利用したりすることで、最良のタイミングを最高のチャンスとして得ることができます。自己流で進めて失敗する経営者は飲食業界では非常に多いので、慎重に進めることが大切です。
焼肉店開業を成功させるためのポイント
焼肉店で成功するには、立地選定やコンセプト設定、競合との差別化、原価管理、接客・空間づくりなど、総合的な戦略が必要です。下記で解説するポイントを抑え、安定した経営を目指しましょう。
明確な「コンセプト」と「立地」
焼肉店はコンセプトによって集客ターゲットが変わります。例えば家族向けの低価格店、デートや接待向けの高級店、肉の専門性を押し出す専門店など。ターゲット層に合った立地選定も重要です。住宅街ではファミリー層向けのカジュアル店が、駅近や繁華街では単価の高いコース店が集客しやすい傾向があります。コンセプトと立地の一致は、開業後の集客安定の基本です。
地域の飲食店組合や同業者から情報を得る
開業前に地域の飲食店組合や先輩経営者から情報収集することで、成功のヒントやトラブル回避法を得られます。仕入れ先、スタッフ採用、集客手法、消防・保健所対応など、実務レベルの知識は教科書だけでは得られません。特に焼肉店は排煙・衛生管理が複雑なため、経験者のアドバイスは貴重です。ネットワークを構築して、開業後も相談できる環境を整えておくことがリスク低減につながります。
競合との差別化を図る
同じエリアに焼肉店が複数ある場合、差別化が売上の安定につながる重要な要素です。価格・メニュー・サービス・内装・肉の品質・提供方法など、何か一つでも他店に勝る独自性を持たせましょう。希少部位や熟成肉の導入、SNS映えする盛り付け、ユニークな接客スタイルなどが効果的です。差別化はブランディングに直結し、口コミやリピーターの獲得にもつながります。
肉の品質&価格のバランスと原価管理
焼肉店は仕入れコストが高く、原価管理が利益率を左右します。高品質な肉を揃えつつ、価格設定で利益を確保することが重要です。歩留まり管理や在庫管理、発注頻度の調整など、細かい原価管理を徹底することで、無駄なコストを削減できます。食べ放題スタイルの場合はロス管理が特に重要で、利益率を下げないための工夫が求められます。
居心地の良い「空間」と「接客」
焼肉店では客席の配置や換気、座席の快適さなど、空間設計が売上に直結します。煙が多くならない配置や、家族向けの半個室、デート向けのカップル席など、ターゲットに合わせた設計が重要です。また、スタッフの接客態度や焼き方のサポートも顧客満足度を左右します。心地よい空間と質の高い接客は、リピーターを増やし、口コミで集客するための重要なポイントです。
キャッシュレス決済やオーダーテイクなどオペレーションの効率化
POSレジやモバイルオーダー、セルフ精算機などの導入でオペレーション効率を高めることで、スタッフの負担を軽減できます。焼肉店は追加オーダーの頻度が高く、焼き加減のサポートなどの業務もあるため、効率化は利益率向上にも直結します。
キャッシュレス決済の導入は会計スピードを上げるだけでなく、来店客の利便性向上にもつながります。また、POSのデータ分析機能を活用することで、売上の季節変動や人気メニューの把握も可能です。なお、これらの設備をまとめて導入できる「開業支援セット」については、後ほど詳しくご紹介いたします。
よくある質問(FAQ)
焼肉店の開業や経営に関して、よくある疑問を整理しました。資金、許可、仕入れ、スタッフ教育など、初めての開業者がつまずきやすいポイントを簡潔に解説します。
焼肉店の開業資金は最低どれくらい必要ですか?
店の規模・立地・内装レベル・設備の新調有無によって大きく変わりますが、一般的な飲食店の場合1,000万円程度の開業資金です。しかし、焼肉店の場合は排煙設備などの設置費用に幅があるため1,400万円~3,600万円が目安です。ただし、居抜き物件を利用すれば高額な設備をそのまま使える場合があり、初期費用を抑えられます。
一方で、開業後の数カ月分の運転資金も必要になるため、事前に事業計画書で資金シミュレーションを行うと安心です。
焼肉店は利益が出やすいですか?
焼肉店は客単価が高く、アルコール比率も高いため、飲食業の中では利益が出しやすい業態といわれています。原価管理を徹底すれば利益率10~15%を目指すことも可能です。安定した収益を出すためには、仕入れルートの確保、適正な価格設定、人気メニューの分析などが欠かせません。
人材不足にどう対応すればいいですか?
パート・アルバイトの採用に加え、シフト効率化やオペレーション簡略化で負担を減らすことが重要です。焼肉店は調理の多くをお客さま自身が行うため、キッチン人員を最小限に抑えやすい業態です。さらに、モバイルオーダーやセルフ精算機などを取り入れることでホール業務の負担を減らし、少人数でも安定した運営が可能になります。
衛生管理で特に注意することは?
焼肉店は生肉を扱う業態のため、衛生管理は非常に重要です。特に気をつけたいのは、生肉と加熱済み食品が触れ合わないようにする「交差汚染の防止」です。トングや皿、調理器具の使い分けを徹底することで、食中毒のリスクを下げられます。また、冷蔵・冷凍庫の温度管理や、スタッフのこまめな手洗い・消毒を徹底することを心がけましょう。
店舗の開業準備をラクにする「開業支援セット」のススメ
焼肉店をはじめ店舗の開業準備はやるべきことが多く、特に初めての開業で準備に不安を抱えている人は多いでしょう。そんな人には、Air ビジネスツールズの「開業支援セット」がおすすめです。
開業に必要なサービスが揃う
会計、決済、売上管理・分析、予約・受付管理など13のサービスの中から、ご自身のお店に合わせて、必要なサービスをひとつから導入できます。
複数のサービスを連携・組み合わせることで日常の業務を飛躍的に効率化することができます。
初期費用・月額費用が抑えられる
無料でお使いいただける『Airレジ』のほか、その他サービスもお得なプランをご用意しています。
基本セット(『Airレジ』『Airペイ』『Airメイト』)は初期費用・月額費用が0円のため、コストを抑えて開業準備を行うことができます。

お得にはじめられる特典をご用意
『Airレジ オーダー』では、新規申込み特典として導入に必要な端末・周辺機器セット(iPad、iPhone SE、キャッシュドロア、レジ用プリンター)を差し上げます。
※特典は数に限りがあり、予告なく変更や終了の可能性があります。
※特典の条件や注意事項をご確認ください。
※iPadとiPhoneは、Apple Inc.の商標です。
まとめ
- 焼肉店は客単価が高く、利益を出しやすい魅力的な業態
- 一方で、高額な初期投資や衛生・設備面でのハードルがある
- 初期費用・資格・手順・成功のポイントを理解したうえで準備を進めることが重要
- 飲食店専門のコンサルタントや開業支援セットなどの便利なツールを活用することで、リスクを抑えた安定経営が可能になる
焼肉店の開業は、初期投資が大きく設備や衛生管理のハードルも高い一方、客単価が高く安定した収益が見込める魅力的な業態です。本記事では、開業資金・運転資金・資格・許可の取得、10ステップによる開業準備、成功のポイントまでを解説しました。さらに、フランチャイズ加盟や個人開業の選択肢、開業支援セット活用など、具体的な方法も紹介しました。
しっかり準備と計画を行い、専門家の知見や便利なツールを取り入れることで、リスクを抑えながら成功できる焼肉店を開業できます。この記事を参考に、自分に合ったかたちで焼肉店開業を目指しましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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下記フォームに必要事項をご入力いただき、ダウンロードページへお進みください。※店舗名未定の場合は「未定」とご入力ください。
この記事を書いた人
成田 良爾(なりた りょうじ)飲食店専門経営コンサルタント
ヴィガーコーポレーション株式会社代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級など。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代の育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れている。食文化普及活動や職業訓練校講師(フードビジネス科)、子育て女性就職支援事業講師なども歴任。メディアへの出演や執筆活動も精力的に行いながら、現在も多くの飲食店経営者のサポートを手がける。オフィスヴィガー http://with-vigor.com/